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九州の杉6 八女杉(後編)

木の住まい取扱説明書 木の輝きはリッチの源!

日本の住まいを良くする無垢材研究会   木の案内舎ゲインのゴトウです


 いよいよ朝が寒くなってきました。外では、ほとんどの人が長袖に衣替えしています。ちょっと前まで、10月というのに暑い毎日が続いていたのですが、台風が暑気も一緒に拭っていったようです。

 今年は後3ヶ月を切って、気持ちも仕事の総仕上げに向かって、熱気が一段と高まってきたようです。

 ゲインを指定していただいている物件が、後10数件ありますが、確実に丁寧に応対していきます。パワフルな建築家やこだわりを持った建築家の方々から、ゲインの無垢の木が支持され始めて、やっと実がなり始めたようです。


 床材は、あかつるぎ30D、肥後クリ、北の赤松、道産アサダと同じく道産イタヤカエデ、そして壁材としては杢精に北の赤松が採用されました。

 塗料はゲインの一押し製品である自然塗料のブレーマーオイルと木蝋ワックス、水性ナチュラルホワイトが決まっています。

 “北の赤松”は、ゲインが8月から取扱を開始した新製品です。

 赤松は九州にもたくさん生長していますが、東北の赤松(“北の赤松”)は、総じて大径木が多く、目が詰まっています。木肌と色合は九州産と変わりませんが、やはり供給量が違う。製品の乾燥度と生産技術が、一枚上手のようです。

 しかも価格もリーズナブルなので、ローコスト住宅にも、十分対応できます。これから爆発的に注文が舞い込む見込があります。


 さて九州の杉は、八女杉のご紹介です。

 前回でも述べましたが、昔からお茶の産地として有名ですが、八女杉は、杉の特徴通り真っ直ぐに伸びるだけでなく、ほぼ真円で生長するため、戦後は建築現場の足場丸太として利用され、そのため間伐事業が活発な地域でした。

 しかしながら鋼製足場が市場に流通し始めると同時に、瞬く間に衰退してしまいました。今でも出荷はしていますが、ほとんどが鯉昇り用というわずかな需要に対応しているぐらいでしょう。

 でもそれが結果的に樹齢50年を超える中径木が育つきっかけにもなりました。

 八女杉は、よく見ると、実に良い表情をしています。端正なのです。南九州の杉のような派手さはありませんが、赤みもほどほどに多い方です。

 品種としては、ヤイチやウラセバルが筆頭で、20種類以上の地域集合品種といえます、その分、これが八女杉だとセールスポイントに乏しいことは否めませんが、やさしい赤みを持ったものがヤイチ、若干黒芯を持つ品種がウラセバルになります。

 正円で生長するのが最大の特徴であるため、その分柾目材がたくさん採れます。

 構造材としては、その地域では梁や柱に利用するビルダーもいますが、厳密にいうと、成長が早いため、それほど強度があるとはいえません。壁材などには、その端正な木肌が生きてきます。

 ウラセバルは、比較的樹脂が少ないためか、材質がもろいので、あまりお奨めはできません。


 さてもうひとつ特筆すべき杉があります。それがホンスギです。

 このホンスギは、南のメアサと好対照な優良材です。正円で生長して、年輪幅が均一で、芯が赤い。

 八女杉とほぼ同じ地域に生長しているのですが、生長スピードが遅く、耐寒・耐雪性が高い杉なのです。よって九州の杉とは思えないほど、年輪が詰まっていて、非常にパワフルで美しい。そのため幻の品種とも言われています。

 材木屋や工務店が取り扱う一般的な市場からは、先ず入手することは不可能でしょう。


ホームページ→ http://www.h3.dion.ne.jp/~yamaiti/
by MUKUZAIKENKYU | 2009-10-10 20:29 | 木 無垢材 自然
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