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強制乾燥の日本社会

日本の住まいを良くする無垢材研究会 
 
                     住まいの木案内舎ゲインのゴトウです


 夏バテです。

 体力には自信があるものの、今年の夏は35度が当たり前のように、毎日続いています。

 そのせいか、どうもイマイチ集中が続きません。

 クーラーが利いた涼しいオフィスとサウナ状態のクルマ、クルマのエアコンが利きはじめる頃には、もう下車しなくてならない。この繰り返しで、夜はグッタリです。


 でもそんな泣き言をいっても意味はありません。自分のペースと意識の高みは、どんなことがあっても堅持しなくてはならない。

 私を待つ人がいる。仕事の上でも、プライベートであっても、私に期待してくれる人々がいます。


 木の産地は、それどころじゃありません。木が乾燥し過ぎないように、毎日管理しなくてはなりません。

 木は、自然に乾燥させるのがベストです。いわゆる天然乾燥です。

 でも天然乾燥は、木自体に負担をかけない方法ですが、その分時間と、ある程度のロスを見込まなくてはならない。


 市場原理は、そういった木への思いやりを全く無視します。

 木を強制的に乾燥させれば、ある程度の均一の「乾燥材」が出来上がるからです。

 でもはっきりいって、「乾燥材」は、木本来の性質や美しさを犠牲にして出来上がったものです。

 
 木には、伐り旬という伐採に適した時季があります。水の吸い上げが止まってからが伐り旬です。


 でも「乾燥材」は、伐り旬を無視して作られます。そのため法律上の強度はクリアできても、実は木の中身はスカスカということが、よくあるのです。

 乾燥させるということは、木を傷めないことが前提なのに、乾燥が干物のような木を大量生産するのであれば、本末転倒というしかありません。


 このクソ熱い夏では、人間とその社会が乾燥しているようです。干乾びた社会では、温かみが根こそぎにされてしまうようです。

 100歳以上のご老人が、行政的に「行方不明」とされる事件が相次いでいます。

 その方たちの生まれた頃は、明治時代の末期に該当します。青年時代は、おそらく大正時代だったでしょう。そして壮年を迎える頃には、大東亜戦争。

 その方たちが、家族からも知られることなくていうか、家族との絆を断ち切られて、日本の社会の闇へと追いやられている。

 しかも行政も、無関心ときている。


 そんな日本は今、社会全体が姥捨て山と化しつつあるのではないでしょうか?

 次代を担う若者たちの希望を踏みにじる政治と行政は、ご老人への無関心と相俟って、まるで強制乾燥された木のように、見栄えだけを取り繕って、中身を問わない不毛社会そのものを際立たせているようです。


住まいの木案内舎ゲイン
by MUKUZAIKENKYU | 2010-08-09 07:34 | 木 無垢材 自然
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