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時代に適応するということ

 エーリッヒ・フロムという哲学者がいました。
 60~70年代の思想的影響を与えた人物の一人です。『自由からの逃走』という著書は、その後も、多くの人々によって、表現を変えて、今なお語り継がれています。
 小説は元より、逆手にとってマーケティング関連にも反映されているように思えます。『無関心な人々を恐れよ』や、『80対20の法則』も、ある意味では的を得ています。
 経営コンサルタントの岡本吏郎氏の著書『成功はどこからやってくるのか?』は、最近の風潮である成功ノウハウの陥穽について、見事に看破しています。
 
 いわゆる大企業を中心に、あらゆる業界で、合併等M&Aが実行され、再編されつつあります。トヨタなど単体で生き残れる企業は少なく、業績が一旦悪化すると、歯止めがかからず、自力再建が困難な時代になっているのでしょう。
 その他日本の企業の95%を占める中小零細企業は、その再編の波に乗ることができません。そのため波の下に沈むか、より先鋭化して生き残る方法を自力で見つけるしか方途が ないようになっています。
 景気の良いときは大企業の真似をしても、何とかやっていけましたが、今の時代では通用しなくなっています。
 しかし皆過去の成功体験に基づいてしか、未来を予測できないためか、未だに大企業の物真似をしている企業は、あらゆる業種で見受けられます。
 これもある種の『自由からの逃走』なのでしょう。

 この『自由からの逃走』の内容については、興味があれば実際に読んでいただくとして、極論意訳すれば、自由というのは独立であり、すべてに自己責任を伴うもの。自己の自律確立は、あえて言えば、圧倒的多数の考えや指向に、公然と反旗を翻すことでもある。
 “最大多数の最大幸福”という古典的「民主主義」は、別の角度から見ると、《畜郡思想》とも言えなくはない。ある哲学者は、「この世で最も支配的な思想は、その支配者の思想である。」とも言っています。微妙な言い回しですね。

 いままで自分自身と思ってきた自分自身は、自分という仮面をかぶった他人にすりかえられていた。ある意味、環境というのは、すべて暗示です。無自覚なままでいたら、いつの間にか条件付けされた洗脳済みの「自分」になっていることがあります。
 意図的に繰り返し流される「情報」は、すべて洗脳的な暗示と思ってもいいでしょう。
 
 これからの時代を生きることは、企業にとっても、一個人にとっても、他人としての自分、自分としての他人を見分け、自分であることを見究めることができなければ、まんまとしてやられることになりそうです。
by MUKUZAIKENKYU | 2005-04-09 10:44 | 木 無垢材 自然
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