遠くの山が青く見えるわけ

日本の住まいを良くする無垢材研究会   木の案内舎ゲインのゴトウです


 ゲインでは、無垢の木にこだわればこだわるほど、木に塗る塗料の問題を避けて通るわけにはいきません。

 木の塗料も、国によってかなりの違いがあります。米国などでは、塗料はペンキと相場が決まっています。しかも木目を消すベタ塗りが主流です。だからか、米国の家では、無地の色が際立っているようです。

 ヨーロッパでは、植物成分を利用した塗料を利用することが多いのですが、かなり厚塗りをするせいか、濃い色が目立ちます。


 じゃあ日本ではどうかというと、できる限り木肌がそのまま見えるような塗装が好まれるようです。木の自然な経年変化を楽しむという文化があるのと、法隆寺のような世界最古の大型木造建築物のある日本では、木肌をそのままにしておく方が自然と感じるのだと思います。


 でも世界的な現状は、石油から精製した塗料が圧倒的に市場を制しています。エコの本家ともいえるドイツでも、実情は同じのようですが、それでも真剣に黙々とエコロジーを追求している企業がたくさんあるところが、日本とかなり違うところです。


 塗料の製品の話は別の機会に譲るとして、今日は成分の話です。

 植物成分で、最も広く利用されているものが、テレピン油です。テレピン油から派生した成分がテルペン。

 どちらも松脂から採取して精製した油で、前者は主に油絵の具のうすめ剤として、後者は塗料の主成分として利用されています。どちらも大きな違いはなく、独特の芳香を持ち、空気を清涼にしてくれます。もちろん無害です。


 樅の木などの針葉樹から発生する成分のひとつに、アルファピネンがあります。それはフィトンチッドと呼ばれる殺菌作用があり、腐朽菌や、ダニ・ゴキブリを寄せ付けない成分でもあり、人が吸収すると、呼吸器を中心として体内の雑菌を駆逐してくれるのです。

 アルファピネンは、元々はピネンがユニット呼称で、αとβがあります。ピネンはPINENE、後ろのNEを取ったら、PINE=パイン。松を表しています。ピネンは松そのものの成分なのです。

 日本では、白砂青松という言葉があります。海岸の美しい光景を表す言葉の一つですが、この青松という言葉が肝心です。

 実際の松の葉は緑色をしていますが、なぜか青と表現しています。おかしかないか?と思われるでしょうが、この松林もそうですが、遠い山々を見ると、実際にほんのりと青く見えると思います。

 この青色が、フィトンチッドが青色を反射して見える現象なのです。


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 この成分を含む塗料を使用したとき、そこは必然的に森林浴の空間に変身するというわけです。しかもばい菌というばい菌を死滅させる殺菌成分でもあるので、樹が腐ることなく成長し続けることができるのです。

 テレピン油は、その成分を含んでいるため、撥水性は元より、抗菌、空気清涼化の効果も期待できるのです。もちろんこれだけで、塗料としては使えません。それ以外の植物成分で調合して、塗料としてデヴューできるのです。

 そして無垢の木の表面を被膜で塞ぐことがないため、木の調湿効果や木本来の性能を損なうことがありません。


 時々見かけるのですが、FDA(米国食品衛生管理局だったか?)の認可成分を使用しているからという理由で、イソパラフィンという石油系溶剤を使用している「自然」塗料があります。

 はっきりいって、石油系の溶剤を使用しているものに安全なものはないと断言できます。EU圏では、イソパラフィンは肝機能障害を惹き起こす有害塗料として認知されています。

 国や法律で認可されているから使用するという発想は、極めて危険です。薬品公害にしても、いつでもかなりの被害者が発生してからしか規制されない事実から考えれば、単なる許認可にアイデンティティを持とうとするのは、販売者としての良心を疑われても否定はできないでしょう。


 シックハウス症候群でしても、その症状は単なる皮膚病の症状からパニック障害ではないかと思えるような発作を伴う症状まで幅があるのです。

 無垢の木を使ったから、自然の中に居るとか、健康に良いと、短絡的に考えると、大変なことになりかねないのです。なぜなら、塗料を塗れば、木そのものではなく、塗料の成分を仲介して呼吸しているからです。

 本当に人やペットの健康のことを考えるならば、木と同じくらいに塗料にも見識を持たなくてはならないでしょう。


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by MUKUZAIKENKYU | 2013-04-17 10:00 | 木 無垢材 自然
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