官庁肝いりの地域材振興政策について

国土交通省から地方自治体まで、多くの地域で、林業振興のための施策が展開されています。
呼び方はいろいろありますが、概ね○○地域材を使おう!とか、「近くの山の木で家を建てよう」といった表現が多いようです。

 日本全国の産地は、疲弊のど真ん中にあります。
 このサイトでも、あちこちで言っていますが、日本には、一年間に使用される木の需要量を超えるほど、森林の蓄積量は豊富にあります。
 しかしながらその需要の80%以上は、輸入材が押えています。そのため毎年その分の量の日本の森林は、伐採されることなく、放置され、荒廃の一途を辿っています。

 そのため更に、材木を生産、製材する業者は商売として存亡の危機に立っているだけではなく、、利回りも悪化しています。杉は、8年前から利回りゼロになりました。すなわちこれ以上生産し続けると、赤字が増えるだけの事業ということです。
 2005年には、今まである程度高付加価値を維持してきた桧材も、ついに利回りがゼロになります。
 杉と桧の産地は、すべて赤字の事業ということです。
 このままいけば、10年後には、間違いなく杉と桧の産地の製材所は半減してしまうでしょう。

  林業家や製材所に多額の融資をしている農林中金は、時限爆弾としての不良債権を抱えているのです。
 大急ぎで、抜本的に、森林事業や材木流通のあり方を改革しなければ、早晩とんでもない事態が起きることは、誰もが予測できるはずです。すなわち産地振興のための手立てを早急に講じ、適正な利潤を産地に取り戻すということに他なりません。

 背に腹は代えられないという言葉があります。
 つまりこれまでは、いろいろ不都合はあっても、何とかやってこれたけど、ここまで業界が悪化の一途を辿れば、悠長なことは言っておられない。
 生産の現場からエンドユーザーまでの流通経路にも、大鉈を振るわなければ、業界全体が滅んでしまうということです。
 
 林業家が元気を取り戻すには、いろんな選択肢がありますが、最も手っ取り早い方法のひとつとして、現在の悪しき慣習的な流通を覆すことが挙げられます。

 林業は、まず自分の木の価格設定権を取り戻すことです。
 林野庁や森林組合などの官が、価格を設定してしまうという資本主義でもなんでもない、妙な社会主義的な制度を変える必要があります。
 そのため、誰も責任を取らない、もたれ合いの構造が生まれ、時代にそぐわなくなっても、危機感さえ持てないのです。
 生産者が価格をつけることで、責任が発生します。競争も同時に発生します。そうなると、価格競争も始まりますが、それ以上にブランディングによる商品価値が高まっていきます。

 皆自己責任で、自社の材木を市場に向けて、積極的に流通させることになるのです。
 売れなければ倒産するかも知れません。でもそれが当たり前なのです。
 許認可で、官と凭れ合っていては、いずれ必ず市場原理が働いて、淘汰されてしまいます。


 次に流通市場としての材木業界の問題があります。
 いわゆる中間業者です。問屋や卸業者、現場納材を主たる業務としている小売販売店等々。規模の違いも大きくて、年商数百億円から数千万円と、相当な巾があります。
 規模がある程度大きな会社では、産地から直接仕入ができますし、それだけの販売量を持っています。リサーチした結果、大体販売額が8~10億円以上の会社が該当するようです。

 問題は、仕入をするにも量がない社員数が10名にも満たない零細小売店です。彼らの仕入れは、産地から直接仕入れることは稀です。一回の発注量が、4トン車1車分にも満たないのでは、産地も持って来ません。運搬代も出ないからです。
 そういう小売店は、いわゆる木材組合の「市場」に、仕入れのほとんどを依存しています。
(次に続く)
 
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by MUKUZAIKENKYU | 2005-10-28 15:39
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