一向に改まらぬ材木・建材業界について

違法伐採の上に輸入される材木の存在を知りながら、それを販売することは、A元建築士と同じ罪を犯していると自覚すべきです。

 今日の朝日新聞の朝刊に地球温暖化に関する特集記事が載っていました。
 私たちが微力ながら取り組んできた“地球温暖化阻止のための盗伐をさせない使わない”運動は、かれこれ10年になろうとしています。
 材木業界が「違法伐採材の輸入を止めよう」と言い始めたのは3年前からでした。

 そしていまだにノーカンな建築業界は、アクションひとつ起していません。官庁とデジャブな建築基準法のためなのか公の行動には現れていません。

 日本全国にはごく一部ですが自分のやる仕事を地球規模の射程に入れて活動している立派な工務店や林産地があります。いわゆる材木屋では、私たちが知っている限りでは10本の指で収まるほどしか知りません。

 材木屋がただの流通業者に堕してしまって以来、目先の金儲けのために、違法伐採・盗伐材が市場に流通していることをむしろ大いに利用した側面があります。
 このような材木を利用すればするほど、材木屋の地位が下がっていくことに気付かなかったのでしょう。それだけバカが多い業界でもあります。

 私たちも「材木屋」ではあります。しかしながら「あんたアホやろ?わしかてアホや!ほなさいならあ!」というわけには行かないのです。

 これは建築業界だけでなく、輸入を行う商社にも極めて大きな責任があります。材木屋の地位が下がることに貢献したばかりでなく、この材木の流通ルートを意図的に材木屋経由という大前提を無視して、木の名称すら知らない一般建材屋ルートからも流したため、材木価格が軒並み崩れてしまったからです。

 それにしてもこんなことをする商社から、依然として取引を継続している材木屋がいまだにあるのは信じがたい事実です。
 その結果日本全国のどれほど多くの優良な産地が廃れてしまったか。山が荒れると、人がいなくなります。人がいなくなると、更に山が荒れてしまいます。

 山が荒れると、山の保水力が減り、川下での河川の氾濫に直結します。それだけでなく木の成長が悪くなるため、動物たちの食料である木の実が減少します。その結果昆虫、川の魚などの生物も減少するため、森林に生息していた生物は餓死して滅亡するか新たな食料を求めて下界に下りてきます。人間との対立が発生します。

 ツンドラ地帯の永久凍土の融解(融けて広大な池になり、太陽熱が地表を融かし続けるため、拡張に歯止めが掛からなくなります)は、1964年から30年間で日本の5倍の面積の森林地帯を消失させてしまいました。それは今でも進行中です。

 その一因になっているのがこの地域での盗伐(違法伐採)なのです。ロシアから松とかの松材やナラなどの広葉樹はとりわけ高い値段で取引されるため、よくよく慎重さが必要です。
 名前だけを変えて輸入されているものが多いからです。代表的なものは「中国から松」「中国なら」「ロシアンシルバーパイン」「ビルマチーク」「タイチーク」等々、まともなルートから流通するものもあれば、ブローカールートから流通する盗伐材もあります。

 これらの真贋を見抜き、不正なルートから入ってくる材木を市場に流通させないようにする運動が是非とも必要なのです。商社は役に立ちません。規制がなければ何でもやる業種だからです。
 本当の意味で本当に価値ある行動を起せるのは材木屋しかないのです。

 しかし自ら自分の首を絞めて地位から権威も廃れてしまった現状では、材木屋に期待することはもはや不可能なレベルまで来ていると思います。

 でも完全になくなったわけではありません。できることからやればいいのです。
 それは国産材だけで日本の建築すべてを補う運動です。輸入をコントロールするような力がない代わりに、更に盗伐材か正当な材かの判断もできないのですから、敢えて輸入材と縁を切り、国産材の質量の向上に専念する方向しかないとも思います。
 これぐらいであれば誰でもできるはずです。

 多くの材木屋が国産材がどれだけ豊富にあるかということさえ知らないのが現状です。いろんな産地の優れた特性を持つ材木を見たことも使ったこともないという材木屋が呆れるほど多いのです。材木屋の組合は定期的に観光旅行には行くものの、産地見学や研修活動などを組織的に行っているところは皆無と言ってもいいようなところです。

 今大手や中堅のハウスメーカー等は無垢材といいながら集成材ばかりを使用しようとしています。しかも輸入材で作った集成材ばかりです。

 もし良心的な材木屋なら、こういった無知に付け込むような販売を何とかして抑えなくてはならないと思うはずです。建築屋でさえ知らないのですから、材木屋がでしゃばってでも教えて、認知度を高めていかなくては、結果的に日本は世界最古の木造建築物である法隆寺等の素晴らしい文化を持っていながら、それを生かすこともできないで世界中でもっともお粗末でみっともない家文化を身につけてしまうでしょう。

 
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by MUKUZAIKENKYU | 2006-01-11 10:02 | 木 無垢材 自然
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