ちょっとコーヒータイム  教養 その8に入る前に

 日本の住宅産業にツーバイフォー工法が持ち込まれて、かれこれ20年になろうとしています。

 一定程度のシェアを持っていますが、日本の在来軸組み工法の80%には遠く及びません。当然といえば当然です。

 在来軸組み工法の長所:
      国産の材料ですべて賄えること。
      日本の主たる気候(四季・梅雨)に適応していること。
      台風対策(地域によっては積雪対策)を主眼に置いていること。
      増築や改築が容易にできること。
      瓦屋根に適していること。(垂直荷重を逃がす構造)
      横からの応力に対して復元力を持っていること。
      日本各地の特性に応じた材料を調達できること。
      構造用の梁や丸太を化粧用としても部屋内に現しに使えること。


 このように在来軸組み工法は縦横両方向の空間に自由度が高く、その際柱や梁を見せることが可能なため、構造美を楽しめます。更に日本には実に多くの種類の木が建築用として使用可能なため、色、香り、触感、木肌を、一つ一つの木に感じることができます。

 ツーバイフォー(2×4、2×6)住宅では、上記のような特性がありません。

 じゃあ何で一部のビルダーが採用して、一所懸命宣伝しているの?という疑問が生じるでしょう。

 このツーバイフォー住宅が日本の建築業界に持ち込まれた経緯は知っておく必要があると思います。

 日米の貿易摩擦解消のための方策のひとつです。最近やっと報道され始めた米国による「年次改革要望書」という、米国による日本の米国化のためのいろんな分野にわたって行われる要求書が毎年米国から日本に要求されてきました。

 ツーバイフォー住宅もその一環でした。だから一時ある大手ハウスメーカーが主導してこの工法を導入したのです。

 この工法を導入するメリットは、ポチ?!政府からの要望でもありますので、導入企業は制度的に多くのメリットを享受できるのです。これは一部のハウスメーカーにとどまらず、行政側からも推進されてきました。

 「輸入住宅促進協議会」なるものを耳にした方も多くいらっしゃると思います。官の側からの押し付けです。ある都市でもこの協議会を設置して、そこの市長が旗振り役をしています。
 ところがその市長宅と市長の官舎は純和風の数寄屋造りでできています。
 …コメントする気にもなれません。

 最近ツーバイフォー住宅の3階建てが認められましたが、それも「年次改革要望書」に準じたものです。

 日本人が日本人のために考え、作り出したものではないのです。

 米国では伝統的な工法のツーバイフォー工法ですが、米国の降雨量は日本の10分の1以下です。しかも年間を通じて気温差も余りありません。梅雨という季節もありません。台風もほとんど来ません。そういう土地・気候に適した工法なのです。だから使用する素材には無頓着なのです。

 日本では素材の選択をおろそかにすることはできません。

 米国で台風が襲った地域は軒並み家屋が跡形もなく吹っ飛ぶか、二階部分がなくなっている光景を目にしますが、台風には実に虚弱な工法なのです。

 日本では台風で倒壊した家屋はありませんが、それは日本なりに工夫しているからです。それと住宅事情の違いもあります。米国では日本のように家屋が1メーター前後で隣接しているところはほとんどありません。米国のように十分な余地を確保しているのは、その分風をまともに受けることにもなります。

 また日本は平野部が少なく、海がなければ山に囲まれているため、台風を直に受けることが少ないという利点がありますが、米国では平野部が圧倒的に多く山間部も台地状になっているため、台風は上陸した後も、当分の間は風力が落ちないのです。

 ツーバイフォー工法は床工法とも呼ばれています。床の強度を高める工法だからです。だから二階建てのときの一階部分に大きな空間のリビングを設けることが容易にできます。
 この一点がウリで伸びてきたともいえます。

 広いリビングは実に気持ちのいいものです。でも一旦作ってしまったら、二度と改築はできません。間取りの変更も不可能です。

 日本の家は柱を中心に間仕切りを考えて建てられますが、ツーバイフォーでは床そして壁が中心です。柱がありません。柱のようにするために3本の材料を釘で緊結するだけです。
 壁は一体化されていますので、壁を取り払うこともできないのです。

 最近鉄骨プレハブのメーカーが集成材の梁を応用した家を売り出しています。あまり旨くいかないのでしょう。今度は2×4(2×6)を打ち出してきました。

 おそらくメーカーの社長も、ツーバイフォーを売りにしている地域ビルダーと同様に、本当の家づくりという視点からかけ離れた別の視点から取り扱い始めたのだと思います。

 別の視点?当然、金儲けに決まってます。
 人には売っても、自分ならこんな家には住まないと、ある工務店の社長が言っているのを思い出しました。

 在来軸組み工法の長所をご紹介しましたが、このままでは公平ではありませんので、ツーバイフォー工法の長所も挙げておきます。ご参考にされてください。

ツーバイフォー工法の長所:
            床や壁をすべて同一の種類とサイズの木で組み立てることができる
            床や壁を一体化するのでユニットの剛性を向上できる
            大きな面積の間取りが簡単にできる
            日本の大工のような職人技が不要なため人件費を抑えられる
            柱や梁を加工するための切込場が要らない

 両方の工法について簡単に説明しましたが、敢えて短所は開示しません。長所とは人間もそうですが、過ぎたるは及ばざるが如し、です。その裏面がすべて短所になります。

 でも短所とは言っても、人それぞれの感性や思惑、利害があります。それは千差万別です。だから私たちが短所といっても、ある人にとっては長所になり、その逆の場合もあります。

 ただこれだけはしっかり憶えて置いてください。

 在来軸組み工法では国産の材料から輸入材まで応用ができます。実際日本の木造住宅の梁には米国産の「米松」という素材が圧倒的に使用されています。

 しかしながらツーバイフォー工法では米国産の材料しか使用されません。この排他的な工法が果たして日本国内で何をしたがっているのか、よく見極める必要があると思います。
 安易にこの工法に飛びつくことは、日本人としてもっとも大切なあるものの致命的な亡失につながるのではないのでしょうか?

 
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by MUKUZAIKENKYU | 2006-02-26 10:06
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