家・住まいの教養 その11

家や住まいの構造について

 構造(材)とは、その家を安全に保持するための最も重要な部分です。一般的に長持ちする家とそうでない家の違いは、この構造材の良し悪しと設計力に左右されます。

 設計力の点では、私は専門家ではないのですが、長年材木屋として1000件近くの建築現場に材料を納めてきた眼で言うと、どうしても納得のいかない違和感として残っていることがあります。

 それは設計をする建築家の造詣のあり方次第で、整然として調和の取れたものができれば、さもなくば無理矢理こじつけたようなアンバランスなものが出来ることもあるということです。

 それはRC(鉄筋コンクリート)製の建築物は分かるが、木造はさっぱり分からないという、ある意味資格を取って木造住宅を設計することはできるが、これまで手掛けたことがないため、今更人に聞くわけにもいかず、無い知識で無理矢理設計した場合に起こるようです。

 実際に木造住宅や建築物の設計の仕方、すなわち構造材と間取りの関連性を理解したうえでの合理的な設計という点を理解していないと、実に不可思議な伏せ図ができることになります。

 在来工法での木造住宅では、その発想の根本を知らなければ、間取りの取り方ひとつからガタガタになります。RCのように間取りを配置すると、一見良さそうな間取りに見えても、実は梁や桁、柱などの構造材に必要以上の負荷をかけることになることがあります。

 RCの場合では、構造躯体と間取りとは密接に関係していません。マンションやビル店舗を思い出したらわかるのですが、一旦出来上がった躯体のフロアでは間仕切りは自由に構成できます。躯体だけで強度を保持できるため、内部の空間構成は全く自由に行うことができるのです。だから間取りは、後から考えることになるのです。

 この発想をそのまま木造住宅に持ち込むと、大変なことになるのです。
 このことを理解している設計事務所は、意外に少ないのです。

 木造住宅の場合は、構造材を考えるときは、同時に間取りなどの構成を考えなくてはならないのです。木造住宅での構造材の合理的な配置を考えるとき、間取りを優先しなくては何も決まらないのです。

 そして平屋ではなく、2階建て以上の建物になれば、1階と2階(あるいは更にその上の階)の間取りを同時に考慮しなければならないため、構造材の配置は更に複雑になります。

 単に強度上だけの理由で配置するだけではなく、住まい手の要望次第では意匠上の設計も加わるため、何を使うかという課題だけではなく、どのように使うかという課題もクリアしなければなりません。

 このようにRCの住宅では、構造材という木はありませんので、すべて下地材と化粧材だけになるのと異なり、木造住宅では構造材を化粧材として兼用したり、下地材に何を選ぶかで間仕切り自体に影響するため、構造材・下地材・化粧材と、より多くの知識が要求されるのです。
[PR]
by MUKUZAIKENKYU | 2006-03-20 11:10
<< 家・住まいの教養 その12 日本人の森林に関する考え方について >>