家・住まいの教養 その12

 前回につづいて、構造についてです。

 前回は設計意匠に関してRC造と木造では、発想が元から異なることを述べました。

 これから先の話は、教養面ではなく、住まいの精神面に属することになりますので、そのとき改めて説明します。

 構造という点から木造住宅を考えるとき、単なる強度ばかりでなく、意匠性が大きな割合を占めることになります。

 これはいわゆる木造住宅とは異なります。木造住宅を前提にしているハウスメーカーの90%は意匠性など露ほども考えません。彼らのとっての材木とは構造材であるだけで、住まい手にとっての木という発想がありません。

 だからそういうメーカーが考え付く家とは、石膏ボードで壁天上を覆ってしまうのが当たり前で、和室にしても柱を出す工法(真壁工法)の場合の柱とは、条件反射的に集成材しか思い浮かばないのです。

 真壁の意味を知らないのです。単に柱を部屋内に露出させることを真壁と考えているなら、それは住まいではなく、バラック小屋に漫画を描いているようなものです。

 さてRC造にしても木造にしても、その素材に求められる基本的な性能があります。もちろん片やセメントと鉄筋という素材、もうひとつは木という素材という全く異なるものですが、建物が建物として十分な強度と耐久性を保つためには以下のような問題をクリアしておかねばなりません。

 RC造では、まず鉄筋が基本どおりの径と数量、そして正しい配置がなされていなければなりません。A氏による強度偽装事件からいろんなところで問題が発生していますが、日本の法律は実に時代遅れのものが多いのです。

 強度に対する標準というものが曖昧なのです。それなのに一部の学者や産業界の要請があれば、大した検討も重ねずに立法化してしまう。つぎはぎだらけの法律であるため、全体を見渡すと実にグロテスクな体系になっています。

 それはそれとして話を進めましょう。

 建物というか住宅というかは別ですが、RC造の建物では、ポルトランドセメントと砂を水で混合してコンクリートを作りますが、砂について既に問題が発生しています。

 混合用に使用される砂は、川砂でなくてはならないはずです。海砂では塩分があるため、そのままセメントと混合してしまうと、コンクリートの内部は酸化して、内部の鉄筋を錆び付かせてしまうからです。

 ところが需要と供給のバランスが崩れ、川砂では供給量が限られているため、やむを得ず海砂を使用せざるを得ない状況があります。高度成長期ではビルの建設ラッシュが展開され、それまで豊富にあった川砂は悉く消尽されてしまいました。

 そこで苦肉の策として砂を洗浄する処置が取られました。塩分を洗い落とした海砂ならば使用可能になったのですが、ここにも抜け穴があるのです。

 結局川砂が消滅した後に使用されたはずの洗浄砂は、公共物ばかりに使用され、多くの民間の建物では、知らん顔をして海砂が使用されてきたのです。これは事実です。

 その後改善され洗浄された砂の供給量も増えたため、民間の建物にも浸透して来ましたが、完璧ではありません。

 そしてもうひとつの問題が発生しました。
 報道もされていることですが、俗に言うシャブコンです。必要以上に水加減を多くしたコンクリートであるため、本来の強度が出ないのです。そのためコンクリート自体の自重で建物が崩壊する危険性が高まってきたのです。
(続きます) 
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by MUKUZAIKENKYU | 2006-03-27 18:05
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