木の家 家・住まいの精神編 7

前回からの続きです。

 住まい手にはなかなか分かりにくいのですが、建築関係の業者が一目見れば、そこに使われている建材のメーカーや質が分かります。

 住まい手が意識する家は、ご自分がこれから建てる家だけですので、ある意味で視野狭窄に陥ってしまっていることが多い。住宅会社も、余計なことに質問されないように、言葉巧みに住まい手の関心の方向を誘導します。

 家を実際に施工する工務店の80%以上が行う、共通した条件反射的行動があります。それはまず、もし直接住まい手から注文を受ければ、住まい手の考えよりも、実際の予算を確認することが最優先されます。
 予算を確認して、プランボード等を作成して住まい手に提案していく工程がありますが、どういうわけか建材メーカー品しか出しません。しかも質と価格の面からは、下から数えた方が早いようなメーカーの商品を提案します。

 本当に木や建材を知っている工務店は、絶対にしないやり方なのですが、工務店や建材屋と名のつく業者の80%以上が、無意識にやっていることです。

 「条件付け」という心理学用語があります。パブロフの犬、という一連の実験結果を表しています。

 多くの工務店が、住まい手の要望をどのように聴取しても、提出する見積書の中身は、どれもこれもが廉価品のオンパレードです。そういう工務店ばかりが周りにいると、住まい手は永遠に自分が望む木や建材、設備も含めて、本当に価値のある製品を紹介されることがありません。

 もしそういう工務店が、何らかの条件下で「条件付け」されているとしたら、どんなことが考えられるでしょうか?

 まず日本では民間だけは自由競争ですので、自由競争の意味をはき違えてしまいます。自由競争=価格競争に、そのまま直結してしまいます。
 「安くしないと注文が取れない」という予断というか先入観で、頭が埋め尽くされているのです。

 またそのような工務店に限って、下請業者に対して、品質やサービスなど全く目もくれずに、とにかく安く受けてくれる業者を優遇します。当然のことですが、その工務店の下請業者=専門業者は、最低の価格=最低の品質=住まい手ではなく、元請の工務店を喜ばすことしか考えなくなります。

 こういう流れが出来てしまうと、何でもかんでも下に向かってしか動かないことになります。だから本当は住まい手に喜んでいただくために努力しなければならない企業努力は、全く違う方向を向いてしまうのです。住まい手のことなど全く考えていない。これが現実なのです。

 自由競争とは自由に競争が出来るのですから、本当は価格は優先順位から考えると、3番目なのです。第1は商品そのものの質、第2はサービスです。

 だから価格を最優先に考える業者は、自分の会社が商品の質や取り揃えでは他の同業者と対して代わり映えがしないか、むしろ劣っています、サービスという住まい手などの顧客に直接関わる、もっとも脳みそを使わなければならない点は、もっと駄目と自分で言っているようなものなのです。

 だから価格だけをパフォーマンスする、つまりあっちよりこっちの方が安い、あっちが○○なら、こっちはもう少し安くできますと、呪文のように宣伝文句にしているところには、本当の意味では顧客が求めているものは、自社では提供できないと言っているのと同じなのです。

 でもこういう事実に業者は全然気がつかないのはなぜでしょうか?そういう業者が、同じ業界の80%以上を占めているからです。だから何となく周りの同業者を見ても、自社と変わらない営業形態しか見えないため、何となく安心してしまうのでしょう。

 たとえ99頭の黒馬が集まっても、1頭の白馬にはなれない。

 皆と同じことをやっていれば、何となく安心してしまう。本当のところは分からないが、みな同じことをしているのだから、間違ってはいないだろうと高をくくってしまうのでしょう。
 そして皆一緒に顧客から見離され、皆一緒に電話帳から消えていくのです。
 
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by MUKUZAIKENKYU | 2006-08-09 11:48
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