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材木屋が考えたトータルな木の家の提案 その2

 海外、とりわけヨーロッパでは、木を実に大切に扱います。とりわけドイツやオーストリアでは、その傾向が顕著で、30数年前に、「バウビオロギー」というひとつの思想が生まれました。

 木の家の平均寿命:欧州 80年   米国 60年   日本 25年

 上のような統計資料があります。信じられないような事実です。

 その原因を求めればいろんなことが考えられます。木という素材の優劣、工法上の優劣等が真っ先に考えられるのですが、実はそう簡単なものではありません。

 気候や風土上の差異があります。そして家の構造素材としての木の質的な供給状況が悪ければ、どんなにお金をかけても、家の寿命が延びることはありません。

 それに家という建築物に対する価値観の相違にも注目しなければならないでしょう。

 ここではまず、最初に紹介した「バウビオロギー」という思想について考えてみたいと思います。日本では「建築生物(生態)学」と訳されています。詳しくは、専門のサイトを見てください。この思想が生まれた背景には、地球の有限な資源の消尽に対するアンチテーゼがあると思います。

 家はエネルギーの消尽を率先するようなものであってはならない。また家のすべてが大地に戻る素材で作られることで、環境に人工的な負荷を与えない。
 大地、太陽、空気、自然と対立するのではなく、調和することで、人間の生活環境を整備すること。そのためにはその土地の磁場や電場に悪影響を与えないことも含まれています。

 宇宙から送られてくるいろんな宇宙線には、人間などの生物に必要なものも含まれています。ファラディーのかご(避雷針の原点)で証明されているように、人間などの生物を、金属のかご・檻の中に閉じ込めるような空間を作らないことも重要と提唱されています。

 こういったことが、欧州で30年以上前から提唱されているにもかかわらず、日本では、この数年前までまったく話題にもならなかった。

 日本は森林大国であり、四季という気候に恵まれ、多くの豊かな自然環境に囲まれていますが、海外から見ると、こんなに恵まれた環境にありながら、なぜそれを有効に活用しないのか、またさらに折角自然を活用したすばらしい日本文化がありながら、それをないがしろにしているのが信じられないと言います。

 日本の住宅建築を主導するものが何なのかを分析しても、商業主義に頭のてっぺんから足先まで侵されていては、この流れからの問題解決は絶望的なほど不可能といわざるを得ないでしょう。

 今バウビオロギーだけでなく、日本のすばらしい歴史のある木造技術を顧みながら、海外の優れた分析能力を借りながら、ひとつひとつ解きほぐしていきたいと思います。

 問題解決の視点は、本心・良心から出てくるものでなければならないと考えているからです。
by MUKUZAIKENKYU | 2007-01-13 12:35
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