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コンクリート製建築物と自然森林破壊との因果関係

 今回は視点を変えて現代の文明の象徴であるビル(マンション含む)が建てられるほど、実は国際的な自然破壊が深刻化する原因になっていることをお伝えしたいと思います。

 コンクリート製の建物は結果としては巨大な産業廃棄物の塊でもあります。土に戻ることは絶対にありえません。

 さてこの建物はどのようにして造られるのか簡単に説明します。

 RC(鉄筋コンクリート)、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)の建物は、コンクリートはセメントと砂と水を原料として組成されます。コンクリートミキサー車で現場まで運ばれ、ポンプ車で型枠の中に流し込まれ、固化したものが床や壁になります。

 この型枠は主に木材を材料にして作られます。合板とそれを支える桟木を単位として、それをつなぎ合わせた空洞にコンクリートを流し込むのですが、合板の樹種は主にラワンとシベリア松です。

 ラワンはいまだに合板となって輸入されていますが、別のルートで建築用に使われる針葉樹合板が流通しています。この針葉樹合板は欧米ではコンクリート用パネルとして利用されていますが、日本では広葉樹のラワン系合板が圧倒的に利用されています。

 60年代から80年代までに、ラワン原産国であるフィリピンを初めとした東南アジア諸国では、深刻な森林破壊が突出して、国土はとことん荒れ果ててしまいました。
 東南アジア諸国の政府も、やっと危機感を持ち輸出規制を強化したため、輸入国側では別の活路を見出すべく、次に針葉樹合板を求めました。

 今度はこの15年前ぐらいからシベリアツンドラ地帯での乱伐による森林破壊が進行して、永久凍土を各地で溶融させつつあります。
 この永久凍土が溶け始めると、地球温暖化をより促進させてしまうのです。

 永久凍土の地下には甚大な量のメタンガスが蓄積されています。それを永久凍土と分厚い腐葉土でしっかりと押さえ込んでいるため、メタンガスが空気中に放散されずに温暖化を抑えてきたのです。

 ところがロシアや中国では、違法伐採を黙認して盗伐材の輸出に手を貸しています。

 日本国内で流通している針葉樹合板の99%が、シベリア松を材料としています。しかも構造用合板として官のお墨付きを得ているため大手を振って取引されています。

 今では中国が主役ですが、日本でコンクリート製建物が建てば建つほど、よその国の自然森林破壊を促進することになっているのです。

 戦後に木という材料に対して多くの代替製品が造られてきました。(例:鉄道用枕木がPC枕木に。木枠はMDFや塩化ビニール製に。)でも最も多く消費され使い捨てされているコンクリート用合板の代替製品は開発されていません。

 代替してはならないものを代替工業化し、至急代替品を開発しなくてはならないものには何ら着手しない。自然破壊を生む経済消費は地球上のすべての生命に対する冒涜といえるでしょう。

 もっとも緊急に代替品が要求されているこの合板の消費が抑えられないなら、早晩間違いなくシベリアから莫大な量のメタンガス(二酸化炭素の20倍の温暖化促進物質)が噴出します。

 そうなったら人類の現在の力では抑えることはできません。

 自然破壊は赤道直下地域で促進されているように思われていることが多いのですが、実は北の局地でひそかに確実に進行しているのです。

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by MUKUZAIKENKYU | 2007-07-08 11:39 | 木 無垢材 自然
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