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木には罪はない

羽賀研二という男。

 悲惨な幼少期を経て芸能界にデヴュー、そして「借金」という名の詐欺横領をしまくり、文字通り自力で稼いだお金ではなく人から騙し取ったお金で優雅な生活を送り、挙句の果てには暴力団の影と一緒に逮捕。

 被害者は数知れず。普通の労働者の一生の平均所得額を数倍も上回るお金を手にしておきながら、更に食い物にする相手を探し回っていた。これはもう立派な確信犯罪です。

 ただ彼のターゲットは、そこら辺のタチの悪い詐欺と異なり、いわゆる金持ちです。だから発覚するのに時間がかかった。金持ちや芸能人を狙うことで、彼らの世間体というアキレス腱を押さえていたのでしょう。

 辛い幼少期は、何も彼だけが経験することではありません。彼だけが最も辛かったわけでもありません。おそらく彼は自分の幼少期から一歩も脱出できていない。

 幼少期の未熟な精神が世間に揉まれて大人になるのではなく、精神はそのまま成長せずに大人のような悪知恵だけを身につけたら、どのような人間性と結末を迎えるのかという典型的な見本になるでしょう。

 「木には罪はない」

 全世界の各地で違法伐採や盗伐が後を絶ちません。違法行為をする者はより高く売れる木を探すため、良い木から先になくなっていきます。

 十年ほど前から、中国から多くの良木製品が輸入されました。ちょうどその時期はシックハウス症候群が問題視されたころで、一時的に「無垢材」の需要が高まりました。

 それに目をつけた建材商社は、我先にと中国や東南アジア、アフリカから「無垢材」を輸入しました。四五年前から違法伐採が摘発され始めて、今まで何もなかったかのように「輸入」を控えるようになりました。

 その当時流通していた木はたしかに良いものでした。それがそこら辺の合板製フロアに毛が生えた程度の値段で取引されていたのです。国内で零下20度の環境で必死に製品を作っている業者は堪ったものではありません。

 一時期価格破壊という言葉が流行りましたが、数十年単位の時間が必要な木には「価格破壊」などあってはならないことです。

 ましてやその良木が実は盗伐材や違法伐採材ということが分かっていても、建材商社は敢えて輸入販売していたのです。その結果正当な価格で取引されるべき製品が、優良な顧客から引き離されてしまいました。

 その当時の住まい手は大変得をしたでしょう。でも価値を知らない商社や工務店、材木屋によって、時間をかけて育った木は辱めを受けました。

 シベリアから松・赤松(中国から松・赤松)にはとりわけ注意が必要です。

 また現在激しく森林破壊が進行している地域はオーストラリアのタスマニア島です。これには日本の製紙メジャーが深く関与しています。

 東南アジアは依然として違法伐採が収まっていません。アフリカでは一部の地域では国の支配層が率先して違法伐採をして私腹を肥やしています。

 先ほども述べましたが、お金になるものとして最初は良い木から狙われます。人情として「良い木」は欲しいものですが、正規のルートを証明できないものには、その販売元がたとえ大きな建材商社であっても絶対に信じてはいけません。買ってはならないものです。

 自然森林破壊を止め、地球温暖化を抑制するためには、良心に基づく経済活動を通してしか達成できないからです。

http://www.h3.dion.ne.jp/~yamaiti/
by MUKUZAIKENKYU | 2007-07-10 08:01 | 木 無垢材 自然
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