日本の行政が頓珍漢な理由 1
日本の立法と行政は、戦後とりわけちぐはぐな取り合わせばかりで、有機的に連関していません。だから国民に対する福祉等の諸政策は時代の進行からいつも大きく立ち遅れているため、必要なときに必要な内容で機能することがないことで多くの国民が救済されずにいます。
その原因はいつも言及されていますが、日本の硬直した省庁間の行き来のない縦割り行政が挙げられます。でも果たしてそうでしょうか? かつてマルクスは資本論の中で、社会を下部構造(土台)と上部構造に分けて、下部構造たる経済制度とイデオロギーの反映としての社会的な政策の上部構造との相互作用(社会的諸関係の総体的表現)について言及していました。 そこから考えると、これまでの日本の政治はすべて自民党の思想を敷衍したものです。たしかに野党との駆引き上100%反映されたものとはいえないでしょうが、実際に政官業の上意下達の歴史とは言えるでしょう。 最近は時代の変化についていけないことが行政の未機能の原因のひとつにあげられることが多いのですが、それは結果であって原因ではありません。 政官業を一種の利害集団として考えれば、労農もひとつの利害集団です。どの時代や世界にあっても、利害と権力が結びつけば、その利害の保守と拡大のためにすべての諸策が行政機関を通じて遂行されることになります。 利害が対立する集団は、権力がないために、必然的にその政策のカヤの外に置かれることになります。 会社組織でも、経営者がいて、中間層と実戦部隊たる労働者で構成されていますが、実際の舵取りは経営者層が担い、現場単位での戦術展開は中間層と労働者層が担当します。 経営者が自分の利害だけを優先すれば労働者の権利が保障されることがありません。逆に労働者がその利害を会社に求めれば、その会社組織の将来性は大きな危機に立たされることになります。 マルクスの理論は巷で言われているようなちゃちなものではありませんが、階級史観といういわゆる資本主義社会では永遠に解決できないものとして階級対立があることを前提にした発想があります。 でもそれはたしかに存在するものの、人間の心の領域を規定するものではありません。また社会自体の存亡に関わるとき階級史観よりも人間の相互扶助の方が優先されることがあります。 マルクス主義では、この階級対立を何らかの方法で止揚する必要と必然性を解いています。それがその当時では「内乱」であり「革命」でした。 でもそれを追究した社会はことごとく瓦解してしまいました。世界中ではいまだマルクス主義を標榜して「武装闘争」を持続している手段がありますが、その内実はほとんどが民族間闘争であり、民族解放闘争です。 だからその闘争が一応の成果を収めて社会が安定し始めると、瞬く間に統制の強弱差はあるもののいわゆる資本主義社会に「変化」してしまうのです。つまりそれまでの闘争とは、革命と称して実質的な解放闘争の次元から一歩も出ていなかったといえます。 それはひとえに所有する者と持たざる者との闘いなのですが、ここで立ち返って日本の制度が機能しないとき、その弊害として官僚主義機構が必ず上がるのですが、そこにはマルクスも考えなかった独特の利害集団が強固な権力を行使しています。 (つづく)
by MUKUZAIKENKYU
| 2007-11-17 10:40
| コラム 政治・経済・社会
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