日本の木のマーケティングの功罪
木の住まい案内舎ゲインのゴトウです。
今週の後半に突入しました。木の住まいコンシェルジュは、杢精とあかつるぎ、シュヴァルツを背中に、接近戦を展開中です。 とはいえ、まずは腰痛を治さなければ・・・鍼灸医院に行ってから、様子を見て・・・ 仕方ナカです。体はひとつ、おろそかにしては、致命傷になりかねません。ここは焦る気持ちを宥めて、我慢して、治療に専念するしかナカです。 本日は、これまでの10年間を通じて、沸々と思ってきたことが、より鮮明になりましたので、御説明したいと思います。いろんな角度から検証ができそうな内容だと思います。 日本のいろんな産地の木を紹介して、販売するだけなら、誰でもできます。建築は元々地場産業ですので、地場の木を活かすことが、本来の使命といえるでしょう。 テレビやメディアで、広範に宣伝している商材には、地域に対する想いが根本から欠落しています。CO2発生を抑えるためには、輸送費のかからない発想が必要になるでしょう。 マーケティングの一手段として、北極でホッカロンを、熱帯地域で氷を販売するのは、需要の掘り起こしですが、なければないで困らないものです。 それまでそんな「便利」なものを使わなくても、十分に豊かな生活をしてこれたのですから、マーケティング手法として、見込み客に「利便性」と「欠乏感」を植えつけることで、それまでの生活様式を壊すことが、販売の成功になるという皮肉な「侵略」なのです。米国がもっとも得意とするやり方です。 日本では、それまで地域性の強かった、流通にも乗らない商材としての「産地の木」を、ニーズではないウォンツを掘り起こして、全国に流動化させることが、新たな商機となるでしょう。 でもこれは商機であって、その地域に対する伝統や地域そのものに貢献することはありません。それは確かに規制(既成?)の市場に、新鮮な風穴を開けるという意味で、貢献度は高いと思います。 北海道圏内でしか流通していなかったモノを、九州に持ち込み、流通させること。その逆もまた然り。九州のものを東北や関東に、東北のものを関西や九州に持ち込めば、それだけで価値が生まれる。 換言すれば、そこで知られていないモノを紹介するのは、当初は心理的障害が高いため、即座に結果は出ません。でも一旦利用されると、一気に動き始めるものです。紹介する者は、自分しか知らないからと、情報を独占しながら販売を優位に展開できる仕組みになっているから、切り取り放題が可能になるのです。 10年ほど前に、Kというマーケッターが、当時米国内で流行っていたマーケティングのノウハウを日本に持ち込み成功しました。その内訳は、本を訳して、部分的に小出しにして、提供することで、人参を追いかける馬のごとく、多くの顧客を集客して、大成功しました。 タイミングも幸いしました。98年当時は、金融庁主導によって、金融機関による融資先への貸し渋りや貸し剥がしという前代未聞の“貸し倒し”が横行した時期でもあります。 だからそれは特別なノウハウを持っていたのではありません。翻訳と小出し、情報源の秘匿、そして本の出版だけで、思い通りに集客を果たしたのです。 情報と流通を制するものが、市場を制するのです。・・・一時期は、ね。 でもここに大きな落とし穴があります。 伝統と地域性を無視すれば、当初は物珍しくて持て囃されますが、いずれ反レバレッジが働きます。侵略されたその伝統は、生まれ変わるために革新します。地域は安心とコミュニティを取り戻す行動を起こします。 余計なものに侵略されたその地域と伝統は、自らのアイデンティティを取り戻すために、止揚されたカッコウで甦ります。文化として根付かせる丁寧な活動を時間をかけてやらなければ、必ず覆されるようになっているのです。 その地域のために、日本の木のために、信念を持って、本当に貢献してきたのか?そこで関わるすべての人々との信頼関係を醸成する努力と固い絆を築き上げてきたのか? 商売はうまくても、人間関係をまともに構築できないのでは、腹の中が透けて見えてくるというものですね。 そのとき“利”に走っていたのか、それとも“義”を貫いてきたのかが、白日の下に晒されることになるのです。 ホームページ→ http://www.h3.dion.ne.jp/~yamaiti/
by MUKUZAIKENKYU
| 2009-02-12 09:25
| 成功と裕福
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