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家・住まいの教養 その14

家・住まいの教養編  もうひとつの構造材としての鉄骨について

 これからご自分の家を持ちたいと考え、住宅展示場に足を運ぶ方は多いと思います。有名なハウスメーカーのモデルハウスがずらりと並び、デザインを凝らした住宅が所狭しと展示してあります。

 外観はハウスメーカーにとって、如何にして見込み客を集められるか勝負のしどころです。そのためモデルハウスの建坪は50~60坪が当たり前のようです。

 そのくらいの規模でないと、工夫やデザインを表現しにくいのです。30坪前後では、どんな家も同じような間取りしか出来なくなります。建てる環境次第ですが、ご自分が求める家の坪数はどれくらいでしょうか?

 もし40坪もあれば十分と思っているなら、メーカーのモデルハウスの外観から依頼先を選ぶのは、元々無理があります。

 もちろんメーカーの営業マンは「あなたが求めている家では、当社のモデルハウスのようなデザインや間取りを求めるのは到底無理ですよ。」とは言いません。

 もしあなたが住宅展示場で、家探しを考えているなら、こういった錯覚を起す工夫がされていることを知った上で行かれてみては如何でしょうか。
 自分の求める家が40坪以下なら、このメーカーの家ならどうなるのかと自問しながら見分すると、いわゆるメーカーのデザインを生かすことはほとんど不可能だと気づくでしょう。

 さて本題に入ります。

 前回はRC造の建物の場合の主要構造材となるコンクリートについて若干触れました。コンクリートの性質上、RC造の建物はきわめて重い建築物になります。

 そのため基礎部分は地中深く作らなければなりません。躯体は十分に強いのですが、その重量は一長一短になります。躯体全体の重量を支えるだけの基礎を作らなければ、その建物自体が傾く恐れがあるからです。

 そう考えただけでも、他の工法の家と比べて経費の嵩む建物だといえます。

 今回は木材について述べる予定でしたが、その前にもうひとつ鉄骨について触れなくてはなりませんでした。

 日本の大手ハウスメーカーでは鉄骨プレハブ住宅仕様が多いからです。最近では慌てて「木造」部門を増やしていますが、どうして「木造」部門を増やしているかという疑問も含めて、この鉄骨プレハブ仕様について考察してみたいと思います。

 鉄骨プレハブ住宅の意味をまず知っておきましょう。外観は木造と同じだからといって、安易に考えると、その将来性を含めて結構愕然とすることになります。

 プレハブという意味は、正確にはプレとファブリケーションに分かれます。予め自社の工場で家の躯体を作り上げておくという意味と思っていただければいいでしょう。

 鉄骨はもちろん鉄製です。次回鉄製の構造材について考察した上で、木材に入ります。
 
by MUKUZAIKENKYU | 2006-03-30 15:41

家・住まいの教養 その13

 シャブコン!最近マスコミでも報道されているので、知っている方も多いでしょう。

 規定以上の水分を加えたコンクリートということで、本来の強度を得られない脆弱なコンクリートのことを指します。

 ただ見極めが必要です。夏場の暑いときにコンクリ打ち(コンクリート打設工事)があるとき、現場の都合で1時間以上待たされるときがあります。
 そういうときにはミキサー車の中にある生コンから水分が蒸発して、今度は必要以上に固まってしまうことがあります。そんなときに定量の水を加えて、適当な強度を維持することもあるのです。そういうことをマスコミは知りません。

 ビルなどの建設現場では、打設車でかなり高い場所まで生コンを押し上げなければならないことはよくあることです。そのとき生コンが必要以上に固まっていては押し上げられないのです。ちゃんとした基準があるわけではないので、そこにシャブコンの生まれる隙が生じるのです。

 この教養のなかの構造編では、コンクリートの質について言及していますが、元々コンクリートの乾燥はどれくらいの時間を要すると思いますか?
 どんな場合でも実際には半年間は掛かるのです。しかし強度を得る目的での養生期間は2週間が基準になっています。これはあくまで建築物としての強度上の問題です。

 その建物がビジネスビルであれ、マンションであれ、公共物であれ、その利用目的は関係ありません。

 強度が出るまでの養生期間とは、換言すれば乾燥期間です。生コン打設時点ではコンクリートの含水率は300%以上です。これが約2週間の養生期間を経て50%以下にまで落ち着くまでには相当量の水分が蒸発していることになります。

 そのためシャブコンが使用された建物では、規定以上の乾燥期間が必要になります。しかしながら乾燥すればシャブコンも元々のコンクリートと同じ強度を得られるかといえば、そうではないのです。

 打設時点で加水のために分子同士の結合が緩いため、その後いくら乾燥させても強度は向上しないのです。乾燥させた後のシャブコンは、ボソボソしています。
 そして(型枠の中に流し込むため)生コンを注入する容積は決まっていますので、加水のために容量の増えた生コンがそのまま注入されれば、実際に必要なセメントと砂の量が減ってしまうことになるからです。

 木の場合も乾燥させなければ強度は向上しませんが、元々木の性質上その繊維や結合分子などがあり、水分の通り道が明確であるため、自然乾燥にしろ人口乾燥にしろ乾燥させれば強度は確実に向上するのです。

 これから先の話は家・住まいの健康面に関する内容になります。

 では次は木造住宅で使用される構造材としての木の話に移ります。
by MUKUZAIKENKYU | 2006-03-29 11:34

家・住まいの教養 その12

 前回につづいて、構造についてです。

 前回は設計意匠に関してRC造と木造では、発想が元から異なることを述べました。

 これから先の話は、教養面ではなく、住まいの精神面に属することになりますので、そのとき改めて説明します。

 構造という点から木造住宅を考えるとき、単なる強度ばかりでなく、意匠性が大きな割合を占めることになります。

 これはいわゆる木造住宅とは異なります。木造住宅を前提にしているハウスメーカーの90%は意匠性など露ほども考えません。彼らのとっての材木とは構造材であるだけで、住まい手にとっての木という発想がありません。

 だからそういうメーカーが考え付く家とは、石膏ボードで壁天上を覆ってしまうのが当たり前で、和室にしても柱を出す工法(真壁工法)の場合の柱とは、条件反射的に集成材しか思い浮かばないのです。

 真壁の意味を知らないのです。単に柱を部屋内に露出させることを真壁と考えているなら、それは住まいではなく、バラック小屋に漫画を描いているようなものです。

 さてRC造にしても木造にしても、その素材に求められる基本的な性能があります。もちろん片やセメントと鉄筋という素材、もうひとつは木という素材という全く異なるものですが、建物が建物として十分な強度と耐久性を保つためには以下のような問題をクリアしておかねばなりません。

 RC造では、まず鉄筋が基本どおりの径と数量、そして正しい配置がなされていなければなりません。A氏による強度偽装事件からいろんなところで問題が発生していますが、日本の法律は実に時代遅れのものが多いのです。

 強度に対する標準というものが曖昧なのです。それなのに一部の学者や産業界の要請があれば、大した検討も重ねずに立法化してしまう。つぎはぎだらけの法律であるため、全体を見渡すと実にグロテスクな体系になっています。

 それはそれとして話を進めましょう。

 建物というか住宅というかは別ですが、RC造の建物では、ポルトランドセメントと砂を水で混合してコンクリートを作りますが、砂について既に問題が発生しています。

 混合用に使用される砂は、川砂でなくてはならないはずです。海砂では塩分があるため、そのままセメントと混合してしまうと、コンクリートの内部は酸化して、内部の鉄筋を錆び付かせてしまうからです。

 ところが需要と供給のバランスが崩れ、川砂では供給量が限られているため、やむを得ず海砂を使用せざるを得ない状況があります。高度成長期ではビルの建設ラッシュが展開され、それまで豊富にあった川砂は悉く消尽されてしまいました。

 そこで苦肉の策として砂を洗浄する処置が取られました。塩分を洗い落とした海砂ならば使用可能になったのですが、ここにも抜け穴があるのです。

 結局川砂が消滅した後に使用されたはずの洗浄砂は、公共物ばかりに使用され、多くの民間の建物では、知らん顔をして海砂が使用されてきたのです。これは事実です。

 その後改善され洗浄された砂の供給量も増えたため、民間の建物にも浸透して来ましたが、完璧ではありません。

 そしてもうひとつの問題が発生しました。
 報道もされていることですが、俗に言うシャブコンです。必要以上に水加減を多くしたコンクリートであるため、本来の強度が出ないのです。そのためコンクリート自体の自重で建物が崩壊する危険性が高まってきたのです。
(続きます) 
by MUKUZAIKENKYU | 2006-03-27 18:05

家・住まいの教養 その11

家や住まいの構造について

 構造(材)とは、その家を安全に保持するための最も重要な部分です。一般的に長持ちする家とそうでない家の違いは、この構造材の良し悪しと設計力に左右されます。

 設計力の点では、私は専門家ではないのですが、長年材木屋として1000件近くの建築現場に材料を納めてきた眼で言うと、どうしても納得のいかない違和感として残っていることがあります。

 それは設計をする建築家の造詣のあり方次第で、整然として調和の取れたものができれば、さもなくば無理矢理こじつけたようなアンバランスなものが出来ることもあるということです。

 それはRC(鉄筋コンクリート)製の建築物は分かるが、木造はさっぱり分からないという、ある意味資格を取って木造住宅を設計することはできるが、これまで手掛けたことがないため、今更人に聞くわけにもいかず、無い知識で無理矢理設計した場合に起こるようです。

 実際に木造住宅や建築物の設計の仕方、すなわち構造材と間取りの関連性を理解したうえでの合理的な設計という点を理解していないと、実に不可思議な伏せ図ができることになります。

 在来工法での木造住宅では、その発想の根本を知らなければ、間取りの取り方ひとつからガタガタになります。RCのように間取りを配置すると、一見良さそうな間取りに見えても、実は梁や桁、柱などの構造材に必要以上の負荷をかけることになることがあります。

 RCの場合では、構造躯体と間取りとは密接に関係していません。マンションやビル店舗を思い出したらわかるのですが、一旦出来上がった躯体のフロアでは間仕切りは自由に構成できます。躯体だけで強度を保持できるため、内部の空間構成は全く自由に行うことができるのです。だから間取りは、後から考えることになるのです。

 この発想をそのまま木造住宅に持ち込むと、大変なことになるのです。
 このことを理解している設計事務所は、意外に少ないのです。

 木造住宅の場合は、構造材を考えるときは、同時に間取りなどの構成を考えなくてはならないのです。木造住宅での構造材の合理的な配置を考えるとき、間取りを優先しなくては何も決まらないのです。

 そして平屋ではなく、2階建て以上の建物になれば、1階と2階(あるいは更にその上の階)の間取りを同時に考慮しなければならないため、構造材の配置は更に複雑になります。

 単に強度上だけの理由で配置するだけではなく、住まい手の要望次第では意匠上の設計も加わるため、何を使うかという課題だけではなく、どのように使うかという課題もクリアしなければなりません。

 このようにRCの住宅では、構造材という木はありませんので、すべて下地材と化粧材だけになるのと異なり、木造住宅では構造材を化粧材として兼用したり、下地材に何を選ぶかで間仕切り自体に影響するため、構造材・下地材・化粧材と、より多くの知識が要求されるのです。
by MUKUZAIKENKYU | 2006-03-20 11:10

日本人の森林に関する考え方について

 家・住まいの教養 その11は次回から再開します。

 前回のコーヒーブレイクで述べたように、世界の樹に対するエネルギー依存率は、途上国では50%、欧米先進国では20%、そして日本は0.8%という異常な結果は、日本の法律や行政のあり方だけでなく、昨今の日本人の心性にも起因しているのではないかと思います。

 日本では、森林というのは怖いところ、妖怪が徘徊する魑魅魍魎の住むところという意識が高いようです。または神聖な場所だから侵してはならない地域とも捉えている人が多いようです。

 これが欧米では、森林はforest→for restという意味で癒しの場所と捉えています。トウヒと樅ばかりの森ですので、フィトンチッドが充溢し、確かに心身を癒す効果があると思います。

 日本は温帯地域に属していて、南に行けば行くほど照葉樹林帯が多くなります。針葉樹ばかりではなく、広葉樹は全国に生息しています。

 これは受け売りなのですが、安藤筑波大学院教授のおっしゃっていたことですが、森はマモリだから森、林は生やすから林だそうです。
 これは日本人の感性を表した言葉の使い分けです。

 日本の樹に対するエネルギー依存率が異常に低い原因のひとつとして、樹に対して対等あるいは保護者としての意識が不足しているように思えます。崇めたてたり、むやみに恐れたり、そういいながら必要になれば計画性もなく伐採しつくすことが多いようです。

 森林の保全と資源としての循環は、日本を除く先進国では当然のように実行されてきました。
 森林の放置による荒廃と無計画な乱伐・盗伐はメダルの裏表なのです。


 確かに日本人の家には多くの木が使用されています。また木を使った工芸や調度品は、全国で作られてきました。しかし生活の中に普段から使用されているかというと、そういう意味からは樹とは程遠い生活を送っているのです。

 森林や木に対する意識を欧米化する必要はありません。日本人の遺伝子には木とともに在る生活や木を大切に扱う先人の意思が組み込まれています。

 欧米では森林の木には精霊が宿るという意識があります。日本では山の神の存在を認めても、木に神を見出さない傾向が強いようです。

 日本では、神社の境内で、その神社ゆかりの樹を神聖視するときに「ご神木」と呼んで、崇め奉る風習があります。神棚に添えるのは榊(さかき)です。神の木と書きます。

 しかしながらこの場合は、神道という天皇制に由来した日本固有の宗教から位置づけられただけで、人間の生活文化に融合したものではありません。象徴的な意味づけではあっても、樹自体には無頓着です。 

 森はマモリとして守るだけのものとして考えると、森には手をつけようがありませんが、実際には多くの先人が森を保全してきました。
 守るとはむやみに敬い畏怖することではなく、自然の一部でもある人間が、森林を森林として人のために活かし、自然を生かすこととして人々の生活の中にも積極的に活かされなければならないなずです。

 森林に手をつけてはならない理由として、多くの人が人間が手をつけると森が荒れるから、樹を切り倒すと地球温暖化を促進してしまうからといった無知に基づく誤解や先入観がはびこっています。

 元々日本人が持っている感性と心性を思い起こせば、森林や木への接し方が分かるようになると思います。そして本当の木の生かし方を実践すれば、日本の森林は確実に復活します。

 
by MUKUZAIKENKYU | 2006-03-16 09:20 | 木 無垢材 自然

コーヒーブレイク 不可思議で情けない日本の文化水準

 今日は、日本のある断面を見てみます。

 世界の木に対するエネルギー依存率というものがあります。

 木をエネルギー源として使用している割合を表したものです。

 途上国のそれは約50%。木材への依存率が高いため、森林破壊が進行しています。世界の4大文明が結果的に滅亡した原因は、エネルギー源として木材を無制限に利用するため、森林を悉く破壊したためともいわれています。

 しかしながら現代での依存率の高さは一概にそうともいえません。それは先進国諸国によるプラントに名を借りた収奪が行われている側面を見逃すわけにはいきません。

では先進国ではどうでしょうか?


 欧米諸国では20%になっています。
 欧州では、木といえばトウヒと樅(もみ)です。この2種類でほとんどの森が構成されています。
 文明先進国のヨーロッパでは、それでもエネルギー源として木をたくさん消費しているのです。

 では森林大国の日本ではこの割合はどうなるでしょう?

 欧米が20%なら、日本は10%前後かと思う人が多いのですが、実は0.8%に過ぎないのです。

 日本ほど大量の森林と多くの種類の樹に恵まれた国はそんなにありません。

 にもかかわらずエネルギーとして日本人は木をほとんど利用していないのです。

 森は荒れつつあります。森が荒れると、木の倒木が多く発生します。倒れた木はゆっくり時間をかけて朽ちていきます。腐れるのです。

 腐れるというのは、腐朽菌などに分解されて、目に見えない速度で燃焼していることと同じです。

 日本の森林をよみがえらせるためにも、木を積極的に燃やす必要があります。循環を促進するためにも、森林を整備するためにも、積極的に燃焼利用することが大切な行いのひとつになります。

 日本のように森林と木々に恵まれていながら、それを有効に利用しない国は、見た目は先進国でも、心は途上国以前にまで退化しているのではないでしょうか。
by MUKUZAIKENKYU | 2006-03-14 10:52 | 木 無垢材 自然

家・住まいの教養 その10

 前回まで住宅の基礎について述べてきました。

 そして床下環境の良し悪しは、そのまま屋内の住空間に影響を及ぼすことも述べてきました。

 基礎やそれを支える地盤や土地の状態が完璧であるならば、次はいよいよ本体です。

 家を形作る材料を構造材と呼びます。この構造材がしっかりしていないと、地震や台風、また日本の四季の変化に対応できない家が建つことになります。

 マンションなどでは構造材はRC(鉄筋コンクリート)製の床壁になります。

 この世に永遠に腐れない材料はありません。いずれ年月を経るに従って老朽化して、やがて朽ちることになります。

 木にしてもコンクリートにしても鉄にしても、それぞれの長所や短所がありますが、住まい手が最も騙されやすい点がここら辺にあります。

 木・鉄・コンクリートの一般的な特性は、多くのメーカーや業者が宣伝説明していますので、ここでは敢えて述べません。

 問題はその一般的な特性で語られるもの(木・鉄・コンクリート)が、実際にその通りなのかということです。

 換言すればそれらの素材にはピンからキリまであるということです。
 
 それらの素材はそのままでは何の役にも立ちません。木が生命資源で、循環型資源であり、鉄やコンクリートは無機資源で有限資源だということです。

 これらの素材を、人間が家や住まいに使用可能なものに加工して初めて役に立つ材料になるのです。だからその加工工程がいい加減であったり、コスト優先で手抜きや欠陥材料であれば、それを利用したり、住む人間は、健康や生命の危機に晒されることになります。

 いくらどんなに意匠を凝らしても、建築基準法をクリアするものであっても、生産者側はその素材にも良し悪しがあり、また加工するレベルで出来上がるものは全く異なることを知っています。

 構造材に使用される材料は、その住宅全体の中で最も多くのコストがかかります。金額が張れば、工務店はこのもっともコストの掛かる項目を安く上げることを考えます。

 私たちは最もコストをかけなければならないと考えて仕事をしていますが、実際の業界では、その全く反対のことを何のためらいもなくやっている業者が圧倒的に多いのです。

 これを本心良心にもとる行為といいます。不正義なのです。
by MUKUZAIKENKYU | 2006-03-11 14:10

家・住まいの教養 その9

 最低でも二日おきぐらいで発信する予定でしたが、何かしら大忙しです。中4日開いてしまいました。

 基礎について。

 さて基礎は布基礎にして、その上に本体を建てていくことになるのですが、床下環境とは本体と基礎の間の空間のことです。

 床下は常に乾燥状態でなくてはなりません。そのため設計の段階では、如何にして効率よく換気ができ、湿気をこもらせない配置をするかという計画が必要になります。

 湿気が残留するような床下では、土台や大引きなどの木がそのために腐れやすくなってしまいます。

 そして床下、即ち家の最下部が湿気などの水分を常時残留させると、人間の健康にも悪影響を与えてしまいます。湿気そのものが、たとえ室内に入らなくても、その湿気によって発生するカビや腐朽菌、ダニなどが繁殖して、やがて必ず室内に侵入することになります。

 室内に侵入するほど菌や害虫が繁殖すると、間違いなく土台などの木部を腐らせるだけでなく、基礎などのコンクリート部分にもそれらは侵入して、酸化させたり、内部の鉄筋を錆びさせることになります。

 もうひとつ嫌なことが発生します。
 これは氣に関することになりますが、このような床下は陰にこもった状態です。
 それは人間などの生物を確実に侵害します。何かしらストレスが溜まる家です。そして科学的にも証明されていますが、清流とは異なり、膠着した腐乱する水分から出た氣ですので、陰気が、その家を蔽うことになります。

 最近の工法の中では基礎に換気扇を設けず、強制的に床下に温風などを還流させて、乾燥状態を確保するものがあります。

 または基礎と土台の間にパッキン材を入れ、そこから空気が自由に出入りできるようにする工法もあります。これは実は昔からあった工法なのですが、パッキン材を桧や樫などの木から硬質ゴムやステンレス製に替えて使用しています。

 できれば電気などに頼らない方法で、できるだけ自然に近い状態で床下の乾燥状態を確保する方法が正しいと思います。それは家本体に負荷をかけないからです。

 何らかの条件で、床下の十分な換気スペースが取れない家もあります。マンションなどもそうですね。

 その場合は炭の敷設という手があります。活性炭を床下全体に敷設すると、湿気が収まります。それだけでなく、マイナスイオンの放散もあり、またシロアリやダニなどの虫を寄せ付けないものになります。

 ただし最近はホルムアルデヒドなどのシックハウス症候群の原因物質を吸着するという触れ込みで、いろんな商品が出されていますが、炭と同じく若干問題点があります。

 それはそういった吸着物質は永遠に吸着し続けるのではなく、ある程度の限界に来ると、即ち吸着が飽和状態になると、機能が激減することです。

 だから機能が低下した炭などは、一旦屋外に出して日光などで乾燥させる必要があります。これを繰り返せば、半永久的に機能を維持できます。お金や電気は要りません。
 住人の手間だけで済みます。

 昔の家には、とりわけ江戸時代以前の社寺仏閣では床下には当然のように炭を敷設しました。
 でもこれはその時代の家のほとんどが高床式だったから出来たことでもあるのです。高床でなくても、床下は開放空間でした。それでなければすべて土間でした。

 現代では法律的にも、そのときのような礎に柱や束を乗せて、開放空間を造ることができません。すべて基礎として布基礎にしなければならないように規制されています。
 実に悩ましい問題です。
by MUKUZAIKENKYU | 2006-03-06 18:25

家・住まいの教養 その8

 前回のその7では、基礎に関するコメントを述べました。
 今回は基礎と床下環境についてですが、もう少し追加があります。

 良い工事をした状態の家は見ているだけで気持ちがいいものです。収まりがしっとり落ち着いて見えるからです。
 坪単価の高低は関係ありません。良い仕事は良い職人がするから良いものができる。当たり前のことです。
 実際に坪60万円ぐらいかかった家で、何じゃこりゃ!という物件には何回も出くわしました。

 基礎では配筋(鉄筋を配置組み上げる作業のこと)から型枠(コンクリートを流し込む型を製作すること)、そしてコンクリート打設という工程をたどります。

 そしてコンクリートが固まる養生期間が経過後、型枠材を外し、基礎がほぼ完成します。ほぼというのは、その後に最後の仕上である基礎の天場均しがあるからです。モルタルできちんと水平面を作ります。

 型枠工事をする際に、基礎と土台を緊結するための金具であるアンカーボルトを配置します。直前に配置するときもありますが、なかには同時にやることもあります。

 コンクリート打設をするとき、もっとも気を配らなければならない補足作業があります。

 それは型枠に流し込んだコンクリートの攪拌です。主にバイブレーターで攪拌します。基礎の型枠に一気に流し込むと、空気も一緒に混入します。なぜ攪拌するかというと、その混入した空気を攪拌することでコンクリートから排出するためです。

 コンクリートと鉄筋でできた基礎は、いわゆる鉄筋コンクリート製(RCといいます)の構造体です。コンクリートに弾性と強度をもたらす鉄筋は空気に触れなければ、ほぼ半永久的に耐久性を発揮します。

 ところが最近の報道で皆さんもご存知かもしれませんが、コンクリート内に配置された鉄筋は酸素と水には弱いため、コンクリートで十分に被覆されていなければ、効果を持続できません。酸化して錆が発生すると、それ自体で膨張し、やがてボロボロになってしまいます。

 だから基礎工事でコンクリート打設の際には、流し込んだコンクリートを攪拌して、内部に混入した空気を排除しなければならないのです。これがまともにできないと、基礎のコンクリートの中に無数の気泡がとどまってしまいます。

 型枠を外した後には表面にたくさんの気泡が見えるときには、二つの原因が考えられます。気泡はある程度は残りますが、残り方が問題です。

 ひとつは型枠に使用した合板を使い回しすぎて、表面の平滑性が失われている場合、その毛羽に気泡が引っかかって居残ってしまうこと。

 もうひとつは実際に攪拌作業がいい加減なために内部に多くの空気が気泡となって残留してしまうこと。

 どちらも駄目です。後者はとりわけ駄目です。基礎の強度が弱まるばかりか、内部に水分が居残るため、見た目は分からないところで、内部の鉄筋を腐朽させてしまいます。

 最悪の場合は、冬などの季節で気温が零下になると内部の水分が凍結して膨張するとき、コンクリートを押し広げ、基礎にクラックが発生してしまうのです。

 表面の気泡の跡は、後者ほど悪くはありませんが、気泡がそのまま水分を吸収してしまいます。コンクリートが乾燥していく工程で、気泡があるとそこに水分が残留しやすくなるからです。そのため後処理として表面をモルタルで覆うことやシーラー処理(防水処理)をすることがあります。
 
 基礎の仕上がりはツルツルでなくてはなりません。最終的には気泡などは表面に残っていては駄目です。見た目も悪く、その業者の腕が疑われます。材料の使いまわしも、程度を過ぎると、材料代の差額などでは追いつかないペナルティーを食うことになります。

 住まい手の皆さんは、基礎が仕上がったとき、まず横から見て基礎の表面が直線になってないとき、または直角が取れていないときは、クレームとして十分な根拠がありますので、施工業者に文句を言わなくてはなりません。

 基礎は家づくりの一番最初の工程ですので、ここを見過ごすと、たとえ立派な家がその上に建っても、やり直すわけにもいかないため、どうしようもなくなります。
 十分気をつけましょう。
by MUKUZAIKENKYU | 2006-03-01 17:29