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家・住まいの教養 その17

 前回に続いて構造材としての鉄と木の比較です。

 前回ではそれぞれの特性として熱の伝導率、耐熱性、磁化度、静粛性などについて述べました。

 今回は、その強度についてです。

 強さでいうと、誰にも理解できるように鉄の方が強いと思うはずです。引っ張り強度などでは木の方に軍配が上がるのですが、しかしながらそれ自体の硬さという意味での強度(硬度)では鉄が断然強い。

 また鉄筋を組み入れたRC造という鉄筋コンクリート製の建造物は石の強度で出来ているといってもいいでしょう。

 このRC造はコンクリートに含まれる水分の質が決め手になります。この水分に塩分などが含まれると鉄筋は酸化して、つまり腐れて膨張します。膨張する結果、躯体であるコンクリートを内部から押し広げ、亀裂を発生させることになります。

 この亀裂から外部の空気や水分が流入して、更に鉄筋の腐朽を促進させます。それだけではありません。コンクリートの成分であるポルトランドセメントと砂利砂を分解していき、セメントミルクと呼ばれる白濁した成分を水分と一緒に溶出していくのです。

 鉄とコンクリートとの相性は本来いいはずなのですが、その成分を間違うと、いわゆる「強度偽装」問題より、遥かに広範囲な問題になります。

 なぜなら戦後の建築ラッシュのために、良質な川砂を取り尽してしまったため、海砂を使用したRC造の建築物はそこかしこに建てられているからです。基準法ではこの海砂は塩分を落すために洗浄して使用しなければならないことになっていますが、果たしてどこまで遵守されたのか大いに疑問の残るところです。

 さて鉄はその特性を生かして使用する分は、実に重宝で優れた素材ですが、最近の戸建て住宅に、木造住宅と称しながら鉄を使用している家が一部のメーカー主導で造られています。

 なぜ鉄を使っていながら木造住宅と呼ぶのか。

 構造材としての柱や梁などに「木」を使っているからという理由でした。

 よく調べてみると、彼らのいう「木」とは小さな木片を接着剤で成形処理したいわゆる集成材のことでした。

 私たちが指す木とは、あくまで自然のままの特性を持つものとしての木です。集成材を木と呼ぶメーカーの発想には、実に自然に対する無知と技術依存の傲慢さを感じます。
 集成材は、せいぜい「木質建材」と呼ぶしかありません。

 ある大手ハウスメーカーに「木質パネル工法」として、やはり木造住宅と名乗っていました。実際には合板製住宅です。その意味で、先の集成材を使用した家は集成材製住宅と呼ぶべきだと思います。

 そしてこの集成材製住宅は、その集成材の柱や梁同士が直接組み合わさっていませんでした。

 何で組んでいるかというと、つなぎ目はすべて鉄製のジョイナーを使用しています。

 鉄製のジョイナーで造った家だから、一般的な木造住宅よりも強いと言っていました。・・・無知とはここまで傲慢になれるものかと呆然とします。

 先ほどの硬度でいうと、鉄の方が木より断然高い。それは別の見方をすれば木は鉄に傷つけられるということです。構造材として集成材という木の性質がまるで失われた材料を使い、それを鉄でつなぐ。

 日本の伝統的な工法は在来工法とも呼ばれる釘を出来るだけ使用しない木同士がしっかりとかみ合わさるように、木の表面を彫り仕口を作って築き上げます。日本の気候風土が年間を通じて高温多湿で、また梅雨という独特の季節を持っているため、その条件に適した工法を先人は築き上げてきたのです。

 この工法は元々「軟構造」を前提にしています。RC増の建物は硬構造といいます。この軟構造は台風など強烈な風や地震などの振動に対して、その衝撃を吸収してかわす構造です。強風などで一瞬風方向にほんの少し動いても、風が止むと元に復元する構造なのです。

 その構造を維持するためには、木同士を仕口によって組合せ緊結しなければならないのです。それを先ほどの「木造住宅」が木同士を鉄製ジョイナーで緊結したら、木は一体どうなるでしょうか。木同士はバラバラな状態で、遥かに硬い鉄によって緊結されると、強い衝撃や振動に対して鉄自体はそのままですが、木は鉄によって変形させられます。

 本来軟構造である木造住宅に鉄をジョイナーとして使用することは、軟構造を否定しています。だからといって硬構造ともいえません。単なるアイデアの域を越えない代物であるこの折衷工法では鉄の特性や木の特性も活かしているとはとてもいえません。

しかもその木は木ではありません。集成材です。

 鉄製のプレートに木を差し込んでボルトで締めて終わりというやり方は、木を傷めているだけです。だから普通の木では持たないため、データで確認されただけの保証書付き集成材を使用するのですが、集成材の使用方法にもよりますが、その耐久性などは実際は未知の領域なのです。

 この集成材の強度は、確かに工業規格上では十分な強度があるとされています。引っ張り強度やせん断強度を試験した結果、確かに強いとされています。

 最近データ偏重の保証という目に見えるものをパフォーマンスしている傾向が始まっていますが、そのためにこの工業規格が利用されていますが、木の生命力や強さを単なる数値で表すには、人間はそこまで自然や木に対して十分な知識を持っているとは、とても言えないと思います。

 木の生命は、二度あるといいます。第一は樹として成長すること。第二は人間のために家屋の材料として家を支えるという使命を全うします。そして50年成長した木は材料として同じ50年生きるともいいます。

 法隆寺の柱は建立されて1300年間を経ています。そして柱の樹齢は1700年といわれていますから、あと400年間は生きることになります。

 これは経験知からの判断ですが、実証されていることでもあります。
 そう考えると、集成材という製品は一体どうなるのでしょうか。集成材に使用されている木片は、そのほとんどが30年前後の木から幅剥ぎされて利用されています。

 接着剤だけで成形した集成材は、木としての価値はゼロと言っても過言ではないと思います。その木片一つ一つの寿命などは全く度外視しているからです。

 鉄と木の相性は、このような使われ方では最悪のケースと言えるでしょう。
(続く)
by MUKUZAIKENKYU | 2006-04-30 20:11

いやはやついでにもう一言!

 前回はゼネコンのお行儀の悪さについて述べました。

 今回は地域ビルダー、つまり小さな街の工務店とでもいっておきましょう。

 一応建設会社の名前を出していますので、○○建設という名の、所帯5名以下の工務店です。

 地域によって偏りはありますが、福岡県は材木屋や建材屋と同じく、工務店と名のつく会社が実に多く、その実体は単なるブローカーから現場監督上がり、大工さんなどのひとり親方、そして一応経理と監督をそろえた零細企業が、大手や中堅のゼネコンの下請から孫請け、そして街のこまごましたリフォームをかき集める会社もあれば、それなりに戸建てを受注している会社まであります。

 今日はその中の一軒ですが、ある日私を呼び出して、今度売り出しの土地にお客さんを集めるための、その土地に合った戸建ての姿図を描いてくれと依頼されました。

 弊社では建築士はいませんが、平面図から立体図、パースから配置図、施工用の各種伏せ図まで作成できるため、住まい手はもとより、時々木造が苦手な設計事務所からも設計の原案作りを依頼されています。

 その工務店の社長とも、そこそこの知り合いでもあったため、その依頼を受けました。

 掘り車庫(家屋が立つ地面より下に駐車用のスペースを作る)も一緒に入れてくれといわれていたのですが、そこまですればお金がかかる作業になります。

 当の社長はサービスで作らせるつもりでいたようなので、掘り車庫の入った姿図は作らない旨を伝えて、上もの(仮想の完成家屋)と土地の形状にあった外構を施してパース図をファックスしました。

 パース図まで辿り着くまでは、当然家屋の配置から適当な間取りを設定しなければ、窓も出来なければ家の形もできません。家の形ができて初めてパースが作れるのです。

 先方から預かった図面は土地の形状と家の配置を四角で囲っただけのものでした。おそらく建て坪数を優先した結果、そこまでの図面までしか描かなかったのでしょう。

 依頼を受けパース図を送るまでに要した時間は丸二日間です。

 それから二日後です。

 その社長からえらい剣幕で電話がかかってきました。「自分が要求したものとは違うじゃないか、姿図を掘り車庫を入れてカラーで描くように頼んだのに、掘り車庫は入っていないし、立体図だけでカラーでもない。どういうことか。」

 faxで送って、社長の感想を聞いて、修正する点を修正したうえでお届けしようと考えていたのでびっくりしました。カラーじゃないのはFAXだから当然なのですが、・・・。

 しかもその上「誰が間取りを作れと言ったか?こんな余計なものを作って、肝心の掘り車庫付きの姿図がないなら役に立たんじゃないか」と来ました。

 「姿図とはいっても、絵の具で絵を描くのとは違いますよ。間取りなどを決めないことには家のカタチが出来ないでしょう。何でも順番があるんですよ。」

 この社長さんはどうやら自分が言ったら、最初から完成品が届くものと勘違いしているようでした。しかもタダで、です。

 相手の意向は聞いていても、それが的を得ている保証はありません。だから叩き案を作って、相互で練り上げていくのです。時間も経費もかかる作業なのです。

 それを平面図や立体図は当然工程として添付されるのですが、それを「余計」とまで言いました。カラーで頼んだのにカラーじゃないと喚いていました。・・・なんか電気も通っていないド田舎の人を相手にしているような、これが年間最低4棟からの戸建てを供給している会社の社長なのかと思うと寒くなってしまいました。

 そしてひとかた文句を言って、私の作図にはこれだけの工程が必要だと説明すると、「分かった」と言って一方的に電話を切りました。

 私もこんな無礼な電話をもらったことがないので、ちょっとぐらぐらこきました。一気に掘り車庫付きの姿図とやらを作成しました。そしてやはりFAXで一回だけ送りました。

 向こうに届くのはもちろんモノクロです。ヒヒッ

 今回のサジェッション:家づくりを知らない工務店が家を造る動機には、まずろくなものがないということ。そういう会社と付き合うのは、こちらの恥になるだけなので、取引先にはどうしたものか。お金は必要だが、下請に甘んじるぐらいなら、自ら行動を起して、本当の家づくりのために市場を開拓すべし。

 その方が多くの住まい手を救うことにつながるのだから。
by MUKUZAIKENKYU | 2006-04-26 10:39

ついでにもう一言 荒れた建築市場

 先週、脳みそが沸騰するようなことに出くわしました。

 またしてもやんちゃなゼネコンが相手です。

 どうしてこうも倫理観がないのか、あんたの会社はなんぼのもんですの?と問い詰めたくなりました。

 設計図には、それぞれの指定材が書き込まれているのが普通です。公共工事とかでは、特定の事業者を指定することが出来ないため、必ず「同等品」という言葉が添付されています。

 この「同等品」とは、本来目的に応じたものであれば、検証可能な製品であれば、許可を得れば使用しても良いということになっています。公共工事の場合はそれほど質は下がりませんが、これが民間工事になると、応札する業者のレベルに影響されます。

 つまり本当に良い製品や情報を持たず、普段からあてがわれたものばかりで工事をしていると、それ以上の知識も技術もないために、確実に質の低下を招いてしまいます。

 今回では、国産の○○材が指定になっていましたが、5者入札の末に落札した業者は、こともあろうに、設計事務所や施主さんに相談することもなく、中国からの輸入品の○○材に変えていたのです。

 中国からの○○材! すなわち盗伐材です。小遣い稼ぎのために、やりっ放しの違法伐採を行い、原価はタダだからと、買い叩かれるままに安値で売買したものです。
当然、伐採した後の土地は放置したままです。日本のように計画植林など、ほぼ100%することはありません。

 こういう出所が分からない、ただ名前が同じというだけで、安いから購入するという考え方は、もっとも無節操・不謹慎な行為なのです。

 こんなことを平気な顔をしてやってしまうと、企業の本来の使命を忘れて、たちの悪いブローカーに堕してしまうのです。

 日本の企業は戦後ではもはやありません。戦後の復興から高度成長期を経験し、バブルの勃興と没落を経て、何が正しく、何が過ちになるか十分知りぬいたはずです。

 周辺の公害を撒き散らしている国は、30年前の日本の姿なのです。

 やっていいこととやってはいけないことの分別をわきまえた日本の企業であらねばならないはずです。だからこそ国内においても海外においても信頼され尊敬される企業になることが出来るのです。

 日本の建築業界では、いまだに安くなるなら、人を殺しても買うという風潮があります。人を殺すという表現は物騒ですが、俗に言う「下請け」業者を潰しても、その生産元が麦飯しか食えなくても、自分だけは美味しいご飯を食べるという発想では、誰からも面従腹背の付き合いしかしてもらえなくなるのです。

“自分さえ良ければ、後は知ったことではない!”という発想。
 どこの国にもあることですが、日本人は世界的に最も礼節に優れた国のひとつだったはずです。

 河川敷で打ちっ放しのゴルフの練習をする連中と道路でスケボーに興じる若者、立ち歩き食いをして、ゴミはそのまま道路に捨てる連中、タバコや痰をお構いなしに吐き捨てる連中、老若男女皆同じです。

 自分の行為が結果的にどのような影響を周囲に及ぼすかを常に考えながら行動すること。そして最善の影響を与え、また最善のオファーをいただくために、自分を律する。それが品格というものです。

 本当の真実とは、この製品を造る産地にこそ、正当なお金をたっぷりと支払うのでなければならないのです。産地が疲弊しては、後々まともな製品を手に入れることが出来なくなるからです。生産元こそを、もっとも大切にしなければ、業界の本当の質の向上は永遠に不可能なのです。

 買う方が、つまりお金を払う方が偉いのではありません。

 本当のお金の使い方を知っている人なり企業は、価値に見合ったお金を出すことを厭いません。そういうお金を支払うことによって、将来にわたって、支払った先の人や企業から優先的に多くの情報と質のいい製品を手に入れることが出来ることを知っているからです。

 涼しい脳みそと高い倫理観に基づいた矜持を持って、価値に応じた正しい行いをしなければならないと思います。正しいとは、本心良心ということです。

 無節操に海外から輸入材を購入することは、日本の市場を汚し、ひいては世界の自然破壊と地球温暖化に手を貸すことにつながることぐらい、まともな脳みそと心を持っていればだれにでも分かることです。

 分かるということは、していいこととしてはいけないことが分かるということです。

 であれば、落札したゼネコンさんは、それが自社の積算ミスによってたまたま落札できたという事実を認識して、自分がすべて被ることを潔しとしなければならないはずです。

 元請業者が勝手に使っている「下請け」業者という協力業者に、その付けを全面的に押し付ける行為は、どう控えめに見ても立派とは言えません。
 一般的には、こういった行為をすることを、日本語では無節操とか、変節とか、あるいは卑怯と呼びます。
by MUKUZAIKENKYU | 2006-04-17 10:12

ちょっとコーヒータイム  教養 その17に入る前に

 本日の朝日新聞には、大変重要な問題提起をする記事が載っていました。

 ロシアと中国による木材の違法伐採、密輸の記事です。

 ある程度問題が深刻化しなければ取り扱わないマスコミには、やっぱり商業新聞の限界だなと思ってきました。
 実際その通りですが、今回の記事で、少しでも多くの人が家や住まいに使われている建材や木材に対してまともな問題意識を持つきっかけになればありがたいと思いました。

 違法伐採や密輸の集中している地域や国:
                ロシア、中国、東南アジア、アフリカ、南アメリカ


 そのすべてに日本の商社が絡んでいます。

 中国では、70年代前後からこれまで、盗伐=違法伐採のために、莫大な量の森林が破壊されました。そのため中国全土で、とりわけ川下の流域では毎年洪水が発生するようになり、最近になってやっとこさ規制を強化し始めました。

 でも中国の治安たるや、ごく一部の都市部だけがある程度展開されているだけで、木材が出荷されるような山林部では、警官ぐるみで賄賂などの汚職に浸かっています。

 そこでは堂々と盗人同士の取引が行われています。片やロシア人、片や中国人、・・・この双方とも、ひょっとして国連の常任理事国のメンバーではなかったかいな?!

 ロシアも中国も、日本人の平均年収と比べたら、多くて10分の1、最低では100分の1という地域もあります。だからというわけではありませんが、ロシアで盗伐されたナラなどの丸太は、1立方メートル当り2500円から3000円という相場で売買されています。

 これが日本の辿り着くまでに、つまり日本の商社が購入して、国内では1立方メートル当りが約5万円になっています。

 輸入規制があるため、一部は合板フローリング用にスライスされます。これを1立方メートル当りの単価に換算すると、約80000円になります。
 最近出回っている中国製のムクフローリングでは約11万円で市場に出ています。

 丸太の段階からは30倍から50倍にもなっているのです。

 買う方も違法伐採であることは百も承知です。だから平気で買い叩くのです。売り手もこれでは採算が合わなくなるので、またぞろたくさんの丸太を、警官に賄賂を渡しながら、山や森林から伐り出して来るのです。

 たとえ二次製品(原料を加工した製品)として出荷するにしても、日本では検疫がありますので、出荷する前には防虫処理をしなくてはなりません。つまり薬品で丸太や製品についた虫を殺し、殺菌するのです。

 こういった工程を経て、薬品漬けの「ムク」材が、日本に入ってきて、安く売買されているのです。

 大手や中小の建材商社は、この事実を知っているはずです。なのに何食わぬ顔をして市場に出しています。
 それを無知な材木屋が買い、1円でも多く儲けようとする工務店が買うのです。

 無垢材だから良いのではないということをしっかりと知っておく必要があるのです。

 輸入材は、国内の市場に入るまではほとんどが薬剤まみれで、そういったブラックボックスにあります。

 そして国内からは日本独特の建築ブラックボックスに取り込まれて、住まい手にあてがわれているのです。

 でもこれら以上にもっともっと深刻な問題があるのです。

 丸太に切られたロシアや東南アジアの樹は、そこに来るまでに100年から300年の歳月をかけて育った樹なのです。これがまともなルートで取引されれば、1立方メートル当り10万円は下りません。

 製品として本当の価値も分からない、小遣い稼ぎのために心無い人間に多くの樹は、まだこれから生長する幼木も含めて、まとめて伐られ、当然その後には計画植林もされずに、その土地は放置されてしまうのです。

 ツンドラ地帯が事実崩壊しつつあります。中国のツケがロシアに輸出されているのです。それは地球温暖化を促進することと同じなのです。

 一部の建材商社に対して、今後輸入の無垢材を徹底的に規制しなければならないのです。しかも即刻に、です。
by MUKUZAIKENKYU | 2006-04-14 10:07 | 木 無垢材 自然

家・住まいの教養 その16

 前回は、構造材としての鉄について簡単に説明しました。

 私たちの求める家とは、構造材に対して、音を伝えにくいもの、熱を伝えにくいもの、そして電気を伝えにくいものとしての素材を要求します。

 当然といえば当然です。生活音は結構頻繁に発生するものですから、家のあちこちで発生する音が家中に反響するのでは、住まい手に不要なストレスを与えてしまいます。
 高気密住宅は構造材とは直接関係ありませんが、高気密とはペットボトル化ということです。

 こういう家に住むと、当初は気になるものの、次第に慣れてきて、普段感じなくなってしまいます。でもそれは意識的には感じないだけで、精神的にはかなりの圧迫感があるのです。

 この問題については、『家・住まいの健康』編で説明します。

 構造材としての鉄について、他の視点からお伝えしなければならないことがあります。
 木とよく比較されるのですが、その強度や耐火性能についてです。


 鉄:生活音 反響する  熱 熱伝導率が高い  電気 高電動体・磁化する

 木:生活音 吸収する  熱 熱伝導率はきわめて低い  電気 絶縁体



 さて強度や耐火性については、ほとんどの人が鉄の方に軍配が上がると思っています。

 鉄のイメージは硬い・強い・燃えない・いろんな形に成形できる・大型建築物には必須等々連想されると思います。原料の鉄鉱石から作るため、石~鉄のイメージがつながっているからでしょう。

 では木ではどうでしょうか?軟らかい・折れる・燃える・自然資源だからもったいない等々ではないでしょうか?

 腐れるというイメージでは、やはり木の連想に該当するかもしれません。最近のテレビではよく欠陥住宅の特集するときには、必ずといってもいいほど床下の土台が腐れた映像を流します。

 鉄は腐れないと思っている方が非常に多いのです。

 木には水に強い種類の木がたくさんあります。デッキやサウナ、野地板(屋根材の下地に張る板)、風呂桶、まな板等々、すべて無垢の木でできています。

 木は水に強く、そして軽いため、生活のいろんな場面で重宝されています。

 鉄が生活に利用されにくいのは、重すぎるという点と熱を奪うという点の二つの欠点があるからです。

 鉄は腐れる前には必ず錆びます。酸化していく行程で錆びるのです。そのとき鉄は膨張します。それは鉄の内部が酸化によって侵食されたために結果として膨張するのです。

 その後は、皆さんご存知のように表からボロボロと剥げ落ち、最後にはポキッといってしまうのです。

 鉄は燃えないのでしょうか。溶鉱炉の映像を見たことがあると思います。溶けた鉄が川のように流れ、冷却工程を経て段々に製品に成型されていきます。

 熱伝導率が高いため、もし火炎を放射すると、瞬く間に全体に熱が行き渡ってしまいます。

 鉄は高熱で溶かして成型するといいました。火事などで発生する熱は800度から1000度を超えます。鉄は600度から急激に強度が落ち始め、1000度近くでは飴のように変形してしまいます。

 この事実から考えると、熱がすばやく伝達するために、それを家の構造材として使用するとき、もし火災が発生したら家自体がゆがんでしまうことになるのです。しかも相当な速さで家全体に影響するため、退避しようにも窓が開かない、ドアが開かないことになってしまいます。

 木、についてです。

 木は燃えます。熱を通さない素材ですが、燃焼します。だから古代から人類に最も活用されてきたのです。でもこれが家の構造材として使われるとしたら、燃えやすいから、かえって危ないと思う人がいます。

 木は燃えますが、強度は落ちません。真っ黒焦げの木を見たことがあるでしょう。燃えた後の姿です。ある程度大きな木を見ると分かりますが、実際には木の表面が燃えて炭化しているだけで、木の芯の方は木のままなのです。だから強度が落ちないのです。

 そうして考えると、鉄の構造材で造られた家とは、家だけを考えた結果構造材として利用されたことが分かってきます。そして対照的ですが、木になる家とは、住まい手の安全面も考慮した家という結論になるのではないでしょうか。

 ここでは紹介しませんが、木と鉄の引っ張り強度や圧縮強度の実験データが公表されています。是非調べてみてください。
 木という自然素材がどれほど優れたものであるか、お解かりになると思います。

 ただ最近の建築基準法は、全くの無知から出来たのではないかと思えるほどいびつな体系になっています。
 防火地域や準防火地域では、ほとんど木を使用する余地がないほど制限されています。

 仕方がないので、私たちは準不燃木材や不燃木材も扱っています。どんな悪法でも無視はできません。ただ不燃処理をした木は、木本来の性能からかなり遠ざからざるを得ません。
by MUKUZAIKENKYU | 2006-04-13 19:47

家・住まいの教養 その15

 やっと復帰できました。

 HPの中に『家を育む土地』という名称のページを作りました。トップページに扉がありますので、そこから入ってください。 http://www.h3.dion.ne.jp/~yamaiti/

 このページは、まだ未完成なのですが、伝えたい内容はほぼ完成しています。
ただ文字ばかりなので、結構集中力が必要です。近い内に、もっと読みやすいように写真等を入れて緩急のリズムを作る予定です。

 さて14までは構造材としてのコンクリートについて簡単に述べました。専門的に語ることも出来ますが、それはこのブログの趣旨ではありませんので、さわりだけで通過します。

 今回は鉄、です。

 鉄は建造物の構造材としては最もコストの掛かる製品です。それは直接売り買いをする場面でのコストという意味ではありません。トラスやH鋼などでは木より安いものもあります。

 鉄と木を同じ体積である現場に納品するまでに掛かる、生産から消費までに掛かるコストのひとつとして、どれくらいの石油を消費するかという比較表があります。

 鉄は木のざっと55倍の量の石油を消耗します。アルミにいたっては約240倍消耗します。

 最近スチールハウスだのアルミ合金何とかとかいう「家」を販売している会社が、次々と倒産しました。当然といえば当然です。化石燃料をざぶざぶ消費するような家に、想いのある人は住むことはないのです。

 金属はそれだけで反響音を生みます。
 一時期「高断熱・高気密」を謳い文句に、実体はペットボトル住宅を勧めるような行政の動きがありました。
 御用学者とメーカーの息のかかった役人が称揚した結果、シックハウス症候群が一気に増えてしまいました。

 高気密は日本の住まいの文化としてふさわしくありません。ごく一部の地域を除いて、高温多湿の気候条件に、日本の家の文化は、敵対するのではなく、人間も含めて適応する道を選びました。

 この視点を抜きに「もっといい家が欲しい」とか、正義の味方ぶった稚拙な本が出回っていますが、裏にある建材メーカーの顔がちらちら見えてきました。

 実際にその家に入ってみると分かりますが、構造材を鉄骨などで造った家は、家全体がよく反響します。物音が物音を通り越して騒音になることが多いようです。

 私たちは家や住まいの構造材には、反響の反対の静けさを求めます。防音ではなく、遮音、あるいは抑音です。

 そして家全体を支えるものですから、熱を伝えないものを求めます。熱を伝える素材では、その素材をどんなに被覆しても、素材同士の組合せで家は出来ているため、熱の伝達を抑えることができないからです。

 そしてもうひとつ、電気を伝えないものとしての素材を求めます。

 その理由は電気を伝える素材では、家の中では当然多くの電気製品を使うため、壁内では多くの配線がなされているため、電気を使用するたびに、その素材は磁化するのです。

 それを反復すると、確実に磁化していき、将来的には立派な磁石になってしまいます。しかも大地の自然の磁場ではなく、人工的な磁場ですので、健康にいいわけがないのです。

 構造材として使われる素材ですので、磁化してしまったら、生活のあらゆる方向から、乱れた磁場を浴びることにつながるのです。そして一旦磁化してしまった素材は、簡単には元に戻れません。

 磁場障害は、まだはっきりと公表されていませんが、確実に拡がっています。
(次に続く)
by MUKUZAIKENKYU | 2006-04-13 15:47

家・住まいの教養について 番外

 現在その14まで、家・住まいの教養について、私たちの想いを述べてきました。

 これからも更に続いていきます。
 全体の構成は既にできていますが、かなりの量になります。全体が完成するまで、おそらくほぼ1年間を要するはずです。

 しかし必ず書き切るつもりです。

 何故なら、私たちの想いが住まい手や建築家の求めるものと異なるのであればそれまでですが、このブログを書き始めて、少しずつではあれ、住まい手からの問合せが増えつつあるからです。・・・やってて良かったと思える一瞬です。

 住まいの教養編が完了したら、次は健康編に入る予定です。教養編は後10回分あります。健康編では、健康住宅を宣伝しているビルダーの比較検証と、住宅と人の健康の関わり方をより本質的に分析していきます。

 この章をお読みになると、宣伝としての「健康住宅」がいかに浅薄でいい加減な動機に基づいて語られているか理解できるようになるでしょう。

 健康の本質とは単純なのです。

 ところで現在、日本の住まいを良くする無垢材研究会のサイトでは、新たな視野から『家を育む土地』という名の扉を作りました。

 家や住まい、そこに住む人や生物が、如何に深くその土地の状態と切っても切れない関係にあり、影響されているか。過去と現状、目に見える将来を射程に入れて、土地という視点から家や住まいについて語っています。

 まだ工事中ですが、近い内に完成する予定です。

 それが完成するまでの間、この研究会ブログの書き込みは暫くお休みです。

 予定通りいけば、4月第3週から再開します。それまで、本サイトを訪問してください。

 http://www.h3.dion.ne.jp/~yamaiti/
by MUKUZAIKENKYU | 2006-04-06 09:11