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自然乾燥材と人工乾燥木材、そしてCO2削減 3

 1から2までに、自然乾燥材について簡単に説明しました。

 この方法は一部では依然実践されていますが、1980年代の終わり頃から人工乾燥材(KD材)に対するニーズが急激に高まりました。

 その理由は、2で述べたように「悪材が良材を駆逐する」結果、悪材が市場に蔓延したためクレームが殺到したことに起因しています。

 具体的には、主なクレームとして未乾燥によって派生するものでした。水分を沢山含んだ生の木は建築に利用されてからも徐々に乾燥していくため、乾燥に応じて発生する木の特性が欠点化してしまいました。

 生の木は乾燥しながら収縮していきます。そのため現場で取り付けたときはピッタリ一致していても、収縮のために空いてしまいます。そればかりではなく、木は均一に乾燥することがないため、割れ、ねじれや反りを惹き起こします。

 完璧に乾燥しているように見える建具材でさえ若干狂いが生じるのですから、一般的な建築材はもっと大きく変形するのは当然といえば当然なのです。

 しかしながら、戦後の住宅業界はセ○○○ハ○○を初めとして、世界の非常識ともいえる住宅の工業化・大量生産化を促進したため、それに洗脳された一部の学者たちにより住宅の規格製品化とペットボトル住宅が浸透し、自然の木に対しては容赦のない制限が課せられるようになりました。

 欧米でも、建築材は乾燥させることが大前提で、機械的な処理技術が比較的進んでいました。日本ではいまだに自然乾燥(業界では天然乾燥と呼んでいます)が主流で、機械的に強制乾燥をすると木が傷んでしまうという理由で、人工乾燥はそれほど緊急的ではなく、機械技術も進化していませんでした。

 つづく

 http://www.h3.dion.ne.jp/~yamaiti/
 
by MUKUZAIKENKYU | 2008-08-22 07:00 | 木の家 国産材 無垢材

人工乾燥材と自然乾燥材、そしてCO2削減 2

 前号では、立ち木が製材され、いわゆる材木屋に辿り着くまでを簡単にご紹介しました。

 さて材木屋の所有する木材は完成品ではなく、あくまで半製品です。そのため自社の倉庫に立てかけて「水を落として」順番に販売することになります。その際は乾燥によって変形した木材を、再度加工した上で出荷することになります。

 この乾燥期間が決まっていないのは、それぞれの製材品の含水率が異なり、木の質に応じて出荷するしかないため、その材木屋の目利きの質に左右されることになります。
 最終的に市場に出される時、それぞれの材木屋の質に左右されるのでは、本当に良い木が大量に流通することなどまずありえません。

 経済用語に「悪貨は良貨を駆逐する」というものがあります。これは本来自然の産物である木の製品、すなわち木材についても当てはまります。

 質の悪い木は保管していても価値を生むどころか、管理コストばかりかかってしまいます。だから質の良い木は高く売れるために保管しておき、そうではない木製品は一刻も早く市場に出して売りさばくことになります。

 それは結果として市場に大量に出回る木製品は「安かろう・悪かろう」の3流品になり、木の製品価値を更に下落させてしまうのです。

 また脱線してしまいました。話を元に戻しましょう。

 ここまでの乾燥工程を経た木の質はともかく、それまでには機械的な乾燥は施されていません。すべて自然の成り行きです。これが日本の元々の姿でした。

 樹がCO2を取り込み、それをそのままの状態で乾燥させて利用する。重油も電気も使わないため、もっともエコロジーな乾燥方法といえるでしょう。ただこの工程には十分な時間が不可欠になります。

 最近はスローライフがあちこちで提唱されていますが、日本の伝統的な家造りでは当り前に実践されてきた方法でもあります。

 ここでは省きましたが、昔は交通手段も発達していなかったためもありますが、伐採した樹は山の谷まで下ろすと、その樹でいかだを組み、川の流れに任せて運んで、川下の買い手に届けていました。流通用語にある「川上」「川下」という言葉は、ここからうまれました。

 葉枯らし乾燥を経た樹は、まだ雑菌を多く含んでいます。先人はそういった木を川の水で洗浄をかねて川下に輸送していたようです。またバクテリアによって、木の体内に残されている結合水を止めている弁を分解することで、川下に着く頃には更に美しい木へと変身していったようです。

つづく

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by MUKUZAIKENKYU | 2008-08-21 06:58 | 木の家 国産材 無垢材

自然乾燥材と人工乾燥木材、そしてCO2削減 1

 日本の家造りでは、古来原木の丸太を山から伐り出すとき、まず切り倒した後、そのまま枝葉が付いたままにして数ヶ月間山に寝かして自然の乾燥に任せていました。

 これを「葉枯らし乾燥」といいます。伐採したばかりの原木は、含水率は300~700%ともいわれ、ほとんど水の塊といっても過言ではないでしょう。それを里まで引き出すのは容易ではありません。だから木の切口の幹と葉からの水分蒸散によって、ある程度乾燥させてから搬出していたのです。

 この乾燥方法は、もうひとつの利点を生み出しました。樹の体内にある水分は単なる水分ではありません。地中の栄養分を含み、また樹特有の成分を含んだ樹液でもあります。樹脂もあります。これは製材すると、灰汁として滲出してきます。それがこの乾燥工程を経ることによって、ある程度灰汁抜きができて、木の色合いが鮮明になるのです。

 また当然のように樹には伐り旬という伐採に適した時季がありました。春から夏にかけては木が成長するために地中から多くの水分を吸い上げる時季になります。そういう時季の木では細胞は弱く、締まりのない状態にあります。そのため建築材としては不適な樹といえるでしょう。

 水分の吸い上げが収まり、樹の体内に溜め込んだ栄養分を変成する時季が秋から冬になります。葉を落とし、光合成を停止した樹は、徐々に締まっていきます。そういう木が建築用として利用されるのです。

 でも実際の市場に流通している建築材の大半は、そういった伐り旬などおかまいなしに伐採された木材ばかりです。一昔前までは伐採から搬出まで人の手で行われていましたが、機械が発達するにつれ、その傾向に拍車をかけているようです。

 話を元に戻しましょう。山から搬出された木は、柱や梁などの建築材に製材されます。その木材は、乾燥工程では「葉枯らし乾燥」という一段階しか経ていません。
 乾燥はそれだけで十分という方もいますが、本当は木材市場では木材を建屋に立てかけて、「水を落とす」という乾燥工程を経ています。

 「水を落とす」期間は定まっていません。木の内部で水分が動くということは、木が収縮や反りを発生させることでもあります。だから材木屋にある製品は、ある意味でそのまま使える物ではない半製品になります。

つづく

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by MUKUZAIKENKYU | 2008-08-20 07:00 | 木の家 国産材 無垢材

08年に入って、建築業界の現状を思う

 7月から新聞紙上の経済面では、毎日のようにデベロッパーから建材商社までの倒産情報が掲載されています。

 今年に入って、東京の友人から、東京は地獄の様相だけど、福岡はのんびりしているようだね。近々暴風雨が吹くから気をつけてね。といわれました。
 建設不況は大手のデベロッパーから大規模に現れるから、連鎖倒産に気をつけろという意味だったのでしょう。

 そして…その通りになっています。九州でも、福岡を中心に、不動産・デベロッパーの倒産から始まり、その発注先であるゼネコン、その下請の中小建設会社や建材会社は連鎖倒産を余儀なくされています。

 今からちょうど10年前の1998年、金融監督庁の施策厳格化による銀行の貸し渋りや貸し剥がしが公然と行われるようになり、全国の多くの中小企業が手のひらを返した金融機関から煮え湯を飲まされました。

 そして10年後の2008年では、またしても金融機関は同じことをあからさまに推進しています。今度は半端じゃありません。

 98年ではいわゆる損切りという融資打切りを推進したのですが、07年末からは体力を回復した金融機関は貸し倒れの拡大防止のために元切りを公然化しています。

 こういった事態を惹き起こしたのは、直接的には07年に施行された「新建築基準法」という悪法によって、まともな工事がまともに施工できなくなったために、多くの建設業者の資金繰りに止めを刺したことに起因します。

 悪いことに、07年末に、いわゆる12・13ショックという不動産に関する融資規制が強化され、金融機関のすべてが審査を厳格化して、実質的に不動産や建築に関する融資を半減させてしまったことが、この事態に更に拍車をかけることになってしまいました。

 政府の景況判断は、最近になって慌てて修正し始めましたが、元々マネーゲームでしかない投資による株式市場の相場に依拠して、ライブドアを初めとした外資と組んだ投資ファンドを、平成不況脱却の旗手のように煽ったため、国民経済の視点を見失ってしまいました。

 国民の生活インフラ(社会保険、医療制度、年金)は萎縮させ、衣食住に関する自給率向上には全く無関心で、その上「新建築基準法」パニックと石油高騰パニックに何の手も打たず、つまり「新建築基準法」の抜本的見直しと暫定税率の廃止をせず、本格的な官製不況を決定付けてしまったといえるでしょう。

 未来に希望が持てない社会に、国民はお金をかける気持ちになるでしょうか?本当の大規模連鎖不況は、全国の隅々に浸透しつつあります。

 一部の企業の業績が飛躍的に良くなったところで、国民の生活が豊かになることはありません。物価高騰のあおりを受けて、多くの国民が切迫感を持っている状況では、一部の企業の活況や株式市場の向上は何の意味も持たないことはいうまでもありません。
by MUKUZAIKENKYU | 2008-08-17 10:29 | コラム 政治・経済・社会